空き地図鑑

空き地、更地、使われていない資材置き場、オープンスペース、祭祀場、住居跡地など、「空いている場所」がもつ様々な機能、意味、魅力を探ります。 (※本ブログに掲載の写真および文章の無断使用(転用・転載など)は禁止しています。)

宮城県東松島市野蒜地区の空き地 ①

東日本大震災から5年半以上が経過した2016年10月13日〜14日。 被災地の今の様子を見に宮城県東松島市(野蒜地区、浜市地区)と石巻市(門脇町、南浜町、雲雀野町、湊町、川口町、大門町、八幡町)を訪れた。 震災直後には多くの人が被災地を訪れ、その様子は…

自然によって生みだされる空き地(分類方法)

この分類では、おもに自然の力によって生みだされた空き地を紹介していきたい。 自然現象が要因となってできる空き地は様々にあり、その全ての例を挙げることはできないが、たとえば次のようなケースが想定できる。 ① 地面の隆起、沈降、浸食などにより空き…

クトジ御嶽

うるま市の海辺にあるクトジ御嶽である。 この御嶽は、樹木と背の高い草むらに覆われて目立たず、隠れるように存在していた。ここはタクシーに乗りながら探したのだが、はじめは運転手も場所がわからず、付近の住人(おばあさん)に場所を聞き出してようやく…

敷地内の使われていない土地 

駅舎敷地内の空き地 敷地内の建物が建っていない空地は、しばしば駐車場や庭、物置き場、畑などに有効利用される。 しかし、中には様々な理由で放置されてしまう場合もある。 上は、駅舎(国際展示場駅)と一体化した店舗敷地内の空き地である。 空き地を囲…

東の御嶽(あがりのうたき)

沖縄県うるま市の浜比嘉島(はまひがじま)に、「東の御嶽(あがりのうたき)」がある。 ここは、大木の下にある空き地が聖域になっており、これまで訪れた御嶽の中でも印象深い場所だった。 訪れた日は、那覇市を出発し、浦添、宜野湾、沖縄市などいくつか…

整地後の雑草

この記事の他に、このブログでは過去の痕跡が残された空き地を紹介したことがある。 → 痕跡を残す空き地 1 - 空き地図鑑 、痕跡を残す空き地 2 - 空き地図鑑 しかし、過去に建っていた建物が解体され、痕跡がきれいに取り除かれたために、当時の姿を想像でき…

シートに覆われた空き地

私たちの周りには様々な空き地があるが、上の写真のように、敷地の全てが防草シートに覆われている所もある。 ここは、一戸建て住宅が二軒ほど建てられそうな広さがあり、地面全体がシートに覆われていた。こうしておけば雑草が生えることもないが、これだけ…

使われていない物置き場 

使われていない資材置き場 2012年撮影。 2014年撮影。 上は、長い間使われていない資材置き場で、入口には利用者を募る看板が立てられていた(下の写真)。 この付近一帯は開発されておらず、森が多く残されている。 この空き地も森を切り開いてつくったのだ…

空き地の有効利用

三角形の空き地 ① 街を歩いていると、時々このような三角形の空き地を見かける。 敷地の形がもともと三角形だったのかもしれないし、もとは四角い敷地だったものが、道路開発などによって削られてできたのかもしれない。 こういう空き地には、野立て看板や自…

田端・田端東遺跡(たばた・たばたひがしいせき)

この公園のような原っぱは、東京都町田市にある縄文時代の遺跡である。 遺跡とはいうものの、現在は雑草に覆われて何も見えない。しかし、この下から約5000年〜2800年前(縄文時代中期から晩期)につくられた竪穴住居の跡や土坑(どこう)が見つかっている*1…

ノロ屋敷跡

上の写真は、知念城(沖縄県南城市)の城外にあるノロ屋敷跡である。 「ノロ」とは沖縄における女性祭司のことで、地域の祭礼を主導する役割を担っている。かつて琉球王国では、制度として女性祭司が組織され、ノロはこの組織の末端に位置していたという*1。…

塩川(しおかわ)の空き地

沖縄県国頭郡本部町に、国の天然記念物に指定された「塩川(しおかわ)」がある。 名前のとおり塩水が湧き出る珍しい川で、このような川は世界でこの場所とプエルトリコの2ヵ所しかないといわれている*1。 塩水が流れる仕組みはまだ解明されていないようだが…

上田城跡 / 円覚寺跡 の空き地

石垣跡地 ここは、長野県上田市の上田城跡内にあった石垣跡(本丸西虎口)である。 上田城は、16世紀に真田昌幸によって築かれた城で、国の史跡に指定されている。なお、この城は関ヶ原の戦いの後に一度壊され廃城になったが、その後の江戸時代中に再建され…

北条氏常盤亭跡(ほうじょうしときわのていあと)

神奈川県鎌倉市に北条氏常盤亭跡がある。ここは、鎌倉時代に北条一族の有力者が建てた別邸跡で国の史跡に指定されている。 上の写真は道路からみた別邸跡の一部である。そしてこれが柵の内側の様子。 このように空き地が広がっているが、史跡として指定され…

文化財の空き地について

文化的機能を持つ空き地(分類方法) - 空き地図鑑でも述べたとおり、文化財の空き地は、国や地方公共団体などにより保存・管理されている。 この分類で紹介する場所の多くは、過去に建てられた建物の跡であり、それらは「史跡」として保存されている。 しか…

サービスエリアのオープンスペース

高速道路を利用する人々が、休憩や給油のために利用するサービスエリア、あるいは、パーキングエリアにもオープンスペースがある。 サービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)は、高速自動車国道法などの法規にもとづいてつくられている。 またこれらは…

ストーンサークル(環状列石) ― 田端環状積石遺構

ストーンサークル(環状列石)は、主に先史時代につくられた祭祀場で、インド、アフリカ、ヨーロッパ、中東、東アジアなど世界各地でみられる。 その性格も様々で、墳墓の一部としてつくられたもの、石自体が信仰の対象になっているもの、聖域を囲む垣として…

使われていない駐車場

駐車場の中には、普段は使われずにガランとしているものがある。 上の写真は今帰仁城跡公園(なきじんじょうあとこうえん)に設けられた予備駐車場の一つだ。 駐車場の周りにはぐるりと道路が通っていて、出入口が2箇所もある。 しかし、訪れた際は開園時間…

氷川女體神社磐船祭祭祀遺跡(ひかわにょたいじんじゃいわふねまつりさいしいせき)

埼玉県さいたま市にある氷川女體神社の前には、江戸時代につくられた屋外の祭祀場が残されている。 ここは、現時点においても古い祭祀の様子がうかがえる貴重な空間である。 祭祀遺跡の入口から撮影。 道を挟んだ向かい側に、氷川女體神社がある↑ 祭祀遺跡の…

友利御嶽(ともりうたき)・知念城(ちねんじょう)付近の拝所

知念城(ちねんじょう / ちねんぐすく)は、12世紀前後か、またはそれ以前につくられた古い城と考えられている*1。また、この地は琉球王国時代の国王の巡礼地の一つである。 この知念城の一画に、不思議な佇まいの円形の空き地があった。 この空き地は、海に…

「超芸術トマソン」の空き地 2

(no.60 東京都渋谷区) 上の写真2枚は、北参道駅近くの歩道にあった謎の閉鎖空間である。 赤瀬川原平の「超芸術トマソン」については「超芸術トマソン」の空き地 (余ってしまった土地について) - 空き地図鑑の中でも紹介した。 この記事で紹介する空き地…

玉城城跡の拝所 塩川付近の拝所

上は、玉城(たまぐすく)城内にあった拝所(うがんじゅ)の空き地である。 現地の標識*1によれば、城の築城年代や歴代の城主は定かになっておらず、この城は創世神のアマミキヨが築いたという伝説もあるそうだ。 なお、城内にはこの拝所の他に「天つぎあま…

休耕地

(no55. 沖縄県うるま市) 畑作が中断され、一時的にデッドスペース化している土地がある。 上と下の写真は、沖縄にあり、いずれも休耕地と思われる。 畑作を中断する理由としては、畑を休ませて栄養のある土をつくる目的があり、場所によっては緑肥にする植…

斎場御嶽(せーふぁうたき)

沖縄本島の南城市にある斎場御嶽(せーふぁうたき)は、琉球神話に登場するアマミキヨという創世神がつくったと伝えられている。琉球王国において最も位の高い御嶽であり、国王が親拝し続けた歴史がある*1。 また、現在は国の史跡に指定されており、ユネスコ…

クバの御嶽(くばのうたき)

上の写真は沖縄県国頭郡今帰仁村(くにがみぐんなきじんそん)のクバの御嶽にある空き地である。ここは森に覆われた丘全体が聖域になっていて、沖縄の中で最大の御嶽とされている*1。 森の入口から細くて暗い薮道を進んでいくと、突然上のような開けた空間が…

聖域の空き地 – 御嶽について

日本では、古くから巨石、巨木、滝、山などの自然物を敬い、それらに宿る神を信仰してきた。 古い祭祀場には、今日の神社でみられる本殿や拝殿などの建築物は建っておらず、簡素な祭壇や結界された土地などを神の仮住まいの場所として祭祀に利用していたよう…

文化的機能を持つ空き地(分類方法)

空き地には文化的な役割を担っているものがある。 それらを、ここでは「聖域の空き地」と「文化財の空き地」の二つに分類してみたい。 「聖域の空き地」とは、ここではおもに祭祀場として使われている空き地を指す。 「祭祀場」とは、神や祖先の霊などの聖な…

建ぺい率と空き地

法律では、ある土地に建物を建てる場合、その建物が敷地面積全体で占める割合を定めており、これを「建ぺい率」と呼ぶ*1。 これによって、敷地内に空き地が生み出され、そこが駐車場や庭などに利用されることになる。 こうした空き地は、通風の確保、防火、…

湾岸の空き地

東京湾沿岸にはまだ多くの空き地が存在しており、ここもその一つである。 湾岸エリアは港や工場などが多いため、物流の拠点になっていたり、電力や石油の供給基地にもなっている。近年では、ここにマンションの建設も次々に進められているようで、居住者が増…

火除明地(ひよけあきち)

過去につくられた緩衝機能をもつ空き地として、江戸時代に幕府の政策でつくられた「火除明地(ひよけあきち)」(火除地(ひよけち)ともいう)がある。 これは、町で火事が発生した際に、周囲の建物に火が燃え移らないようにすることを意図してつくられた空…