うるま市の海辺にあるクトジ御嶽である。
この御嶽は、樹木と背の高い草むらに覆われて目立たず、隠れるように存在していた。ここはタクシーに乗りながら探したのだが、はじめは運転手も場所がわからず、付近の住人(おばあさん)に場所を聞き出してようやく辿り着くことができた。
その際、運転手のおじさんは「大和(やまと)から御嶽を探しているそうだよ」と言って私をおばあさんに紹介してくれた。神聖な場所なので、ナイチャーの私が見に行っていいものか、少し不安や後ろめたさを感じた。ただ、入り口に着くと、そこには市の教育委員会の案内標識が立っていたので、いくらか安心した。
それによれば、ここは旅の果報や航海安全を祈る御嶽だったようだ。
現在はコンクリートの地面やブロック垣で整えられているが、昔はおそらく祠以外には人工物は設けられず、ただの藪の中の空き地だったと推測できる。
しかし、現在でも鬱蒼とした薮が周りを取り囲んでおり、昼間でも薄暗い。
何となく長居はしづらく、畏怖の念を抱かせるような空間だった。
(no.104 クトジ御嶽 / 沖縄県うるま市)