空き地図鑑

空き地、更地、使われていない資材置き場、オープンスペース、祭祀場、住居跡地など、「空いている場所」がもつ様々な機能、意味、魅力を探ります。 (※本ブログに掲載の写真および文章の無断使用(転用・転載など)は禁止しています。)

文化的機能を持つ空き地 – 聖域の空き地

薮薩御嶽(やぶさつうたき) 

沖縄県南城市の海に面した崖の上に「薮薩御嶽(やぶさつうたき)」がある。 ここは琉球王国時代、国王の巡礼地の一つだった聖域だ*1。 7月半ばの猛暑日、那覇市から路線バスを乗り継いでこの地を訪れた。 事前に調べたところ、御嶽の近くに「Cafeやぶさち」…

小禄の嶽(おろくのたき)

ここは、那覇市小禄(おろく)の森口公園内にある聖域で、「小禄の嶽(おろくのたき)」とよばれている。 森口公園は小高い丘にあり、公園入口から階段を登リ切ると、上のように開けた場所に出る。 空き地の面積は広く、内部には小さな祠がたくさん並んでい…

受水走水(うきんじゅはいんじゅ)

沖縄県南城市の海に面した森に「受水走水(うきんじゅはいんじゅ)」とよばれる泉がある。 ここは沖縄における稲作発祥の地と伝えられ、「受水(うきんじゅ)」「走水(はいんじゅ)」とよばれる二つの泉が存在している。 ここで注目できるのは、泉のそばに…

クトジ御嶽

うるま市の海辺にあるクトジ御嶽である。 この御嶽は、樹木と背の高い草むらに覆われて目立たず、隠れるように存在していた。ここはタクシーに乗りながら探したのだが、はじめは運転手も場所がわからず、付近の住人(おばあさん)に場所を聞き出してようやく…

東の御嶽(あがりのうたき)

沖縄県うるま市の浜比嘉島(はまひがじま)に、「東の御嶽(あがりのうたき)」がある。 ここは、大木の下にある空き地が聖域になっており、これまで訪れた御嶽の中でも印象深い場所だった。 訪れた日は、那覇市を出発し、浦添、宜野湾、沖縄市などいくつか…

ストーンサークル(環状列石) ― 田端環状積石遺構

ストーンサークル(環状列石)は、主に先史時代につくられた祭祀場で、インド、アフリカ、ヨーロッパ、中東、東アジアなど世界各地でみられる。 その性格も様々で、墳墓の一部としてつくられたもの、石自体が信仰の対象になっているもの、聖域を囲む垣として…

氷川女體神社磐船祭祭祀遺跡(ひかわにょたいじんじゃいわふねまつりさいしいせき)

埼玉県さいたま市にある氷川女體神社の前には、江戸時代につくられた屋外の祭祀場が残されている。 ここは、現時点においても古い祭祀の様子がうかがえる貴重な空間である。 祭祀遺跡の入口から撮影。 道を挟んだ向かい側に、氷川女體神社がある↑ 祭祀遺跡の…

友利御嶽(ともりうたき)・知念城(ちねんじょう)付近の拝所

知念城(ちねんじょう / ちねんぐすく)は、12世紀前後か、またはそれ以前につくられた古い城と考えられている*1。また、この地は琉球王国時代の国王の巡礼地の一つである。 この知念城の一画に、不思議な佇まいの円形の空き地があった。 この空き地は、海に…

玉城城跡の拝所 塩川付近の拝所

上は、玉城(たまぐすく)城内にあった拝所(うがんじゅ)の空き地である。 現地の標識*1によれば、城の築城年代や歴代の城主は定かになっておらず、この城は創世神のアマミキヨが築いたという伝説もあるそうだ。 なお、城内にはこの拝所の他に「天つぎあま…

斎場御嶽(せーふぁうたき)

沖縄本島の南城市にある斎場御嶽(せーふぁうたき)は、琉球神話に登場するアマミキヨという創世神がつくったと伝えられている。琉球王国において最も位の高い御嶽であり、国王が親拝し続けた歴史がある*1。 また、現在は国の史跡に指定されており、ユネスコ…

クバの御嶽(くばのうたき)

上の写真は沖縄県国頭郡今帰仁村(くにがみぐんなきじんそん)のクバの御嶽にある空き地である。ここは森に覆われた丘全体が聖域になっていて、沖縄の中で最大の御嶽とされている*1。 森の入口から細くて暗い薮道を進んでいくと、突然上のような開けた空間が…

聖域の空き地 – 御嶽について

日本では、古くから巨石、巨木、滝、山などの自然物を敬い、それらに宿る神を信仰してきた。 古い祭祀場には、今日の神社でみられる本殿や拝殿などの建築物は建っておらず、簡素な祭壇や結界された土地などを神の仮住まいの場所として祭祀に利用していたよう…