大雨が降ると、川が増水して洪水を引き起こすことがある。それを未然に防ぐため、街に調整池が設けられる。調整池に雨水を貯めることで、大量の水が一気に川へ流れ込まないようにしているのだ。
調整池のなかには、貯水されていない時に一般開放され、グラウンド、駐車場、公園などとして利用されるケースもある。
※前回の調整池の記事→調整池の空き地(横田川運動公園) - 空き地図鑑
上の写真は、茨城県龍ケ崎市にある破竹川調整池の一部で、開放されている緑の空き地部分である(面積は2haくらい)。この空き地に隣接して駐車場やテニスコートもある。なお、東京都の調整池に関するページを参照すると、調整池には掘込式、地下箱式、地下トンネル式などがあり*1、この分類によればここは掘込式と思われる。
上の写真の左奥へ行くと排水設備に至り、そこから池の水を川へ排水する。そして上の写真の右下あたりには雨水の流入口らしきものがある(下の写真)。
雨水の流入口らしき水たまり。その右隣には駐車場が整備されており、さらにその隣にはテニスコートがある。
近くで見た様子。街に降り注いだ雨水は、おそらく下水道を通ってここから流れ込むのだろう。
破竹川調整池の全体図。
大雨の際、この空き地が水没することが示されている。
そして、これが空き地の端に立って見た様子。
反対側の端(写真奥)までは250メートルくらいある。ここは誰でも立ち入ることができるが、訪れた時は地面がぬかるんでいた。池なので当然といえば当然だが、いつもこの状態かどうかはわからない。
なお、空き地の周囲には小道が設けられており、訪れた時は3、4人ほど散歩している人の姿があった。
ここから特に変化のない風景が続くが、反対側の空き地の端を目指して進んでみる。
スタート地点(右奥)を振り返る。
空き地の中に一歩足を踏み入れてみたが、水が染み出してきて長靴が欲しくなる。
空き地の中央付近まできた。左奥が空き地の端(向かっていく方向)。
歩いてきた道を振り返る。轍が薄く見えるので、この道は車が通ることもあるようだ。
ここから思い切ってぬかるんだ原っぱに入り、奥の森へ近づいてみる。
森のそばまで来た。近くには小川が流れている。ここには自然に根付いたと思われる木々があり、爽やかな水辺の風景が楽しめる。
この辺りの小道にも車が通った痕跡がある。大きめの水たまりがあって歩きづらい。
水たまりに近づくと、端のほうで水紋が生まれた。
よく見ると小魚が泳いでいる。
これはメダカだろうか。調整池に生息していたものが、池の水が抜かれてここに取り残されてしまったようだ。
顔を上げると、向こう側に空き地の端が見える。小魚の今後が心配だが、容器を持っておらずどうすることもできない。かわいそうだが、先へ進むことにした。
時々振り返って空き地の中を眺める。特に目を引くものはなく、きれいな原っぱが広がる。スタート地点からここまで200メートルくらいは来ただろうか。
途中で振り返って見た様子。右奥の建物がある辺りがスタート地点。
ちなみにこの轍の水たまりには魚の姿はなかった。
ようやく空き地の端に到着した(歩いてきた方向を撮影)。
ここは、ぬかるんでいる時は運動場としては適さないかもしれないが、風景を眺めたり散策する意味では心地よい空間だ。この付近には、このような広い原っぱがほとんどないので貴重な緑のオープンスペースと言える。
また、今回特に心に残ったのは取り残された水たまりと小魚だ。それらは、まだ見ぬ空き地が水沈した姿を想像させてくれるものだった。
(no.430 茨城県龍ケ崎市)
*1:参照:東京都建設局ウェブサイトhttps://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/jigyo/river/chusho_seibi/ike.html(2021.8.1閲覧)