空き地図鑑

空き地、更地、使われていない資材置き場、オープンスペース、祭祀場、住居跡地など、「空いている場所」がもつ様々な機能、意味、魅力を探ります。 (※本ブログに掲載の写真および文章の無断使用(転用・転載など)は禁止しています。)

用途不明の空き地2

 

工場の塀の空きスペース 

f:id:akichiniiko:20201224234735j:plain 工場の塀にわずかに凹んだ謎の部分を見つけた。


f:id:akichiniiko:20201224234633j:plain小さめの細長いスペースだが、何のために設けられたのだろうか?

マンホールやハンドホール(排水桝や水道メーター等)が設置されていた場所かもしれないが、蔓や枯れ葉に覆われ、それらの痕跡は確認できない。ただ、大きめの切り株が残っている様子から考えると、使われなくなった植栽地(植樹スペース)という可能性もある。

f:id:akichiniiko:20201224234653j:plainスペースの右端に取り残された切り株。

なんとなく樫の木のように思える。

f:id:akichiniiko:20201224234659j:plain左端にもある。

しかし、観察を続けていると、これらは植樹されたものではなく自然に根付いたものに見えてきた。なぜなら、近くのコンクリートの隙間からも幼木が生えていたからだ(下の写真)。

f:id:akichiniiko:20201224234741j:plain割れ目から生える幼木。

もちろん、ここで推測したケースの他になにか別の用途があったのかもしれないが、建築や土木に詳しくないのでよくわからない。何か気がついた人がいたら教えてほしい。

(no.431 茨城県)

  

 

藪の隣の空き地 

f:id:akichiniiko:20200628215705j:plain散歩中、取り残されてしまったかに見える三角の空き地があった。

f:id:akichiniiko:20200628215931j:plainここは性格としては「余ってしまった土地」にも分類できそうだ。

ただ、敷地内には砂利が敷かれ、車が出入りしているような跡も見られる。つまり、現在も駐車場などに使われている可能性がある。道を挟んだ反対側には中古車販売店があるので、ひょっとしたらそこが所有する土地かもしれない。

使われていない土地だとすれば、中古車販売場跡地、駐車場跡地、使われなくなった物置き場などと推測できる。とはいえ、それ以上のことは何もわからない。

また、この空き地には電柱が立っているが、スペースを最大限活用するにはやや邪魔な位置にあると感じる。つまり、もともと頻繁に使うことは想定されていない土地ではないだろうか。なお、一般的に電柱は公道に立っているが、道路の交通環境をよくするために個人の敷地に立てられることもあるようだ(その場合は電力会社から敷地料がもらえるらしい)。

f:id:akichiniiko:20200628215831j:plain上を通る道から見た敷地の様子。

f:id:akichiniiko:20200628215841j:plain電柱の下に看板が倒れていた。土地の用途について記されている可能性があるが、確認はできない。

f:id:akichiniiko:20200901180613j:plainここからは空き地と関係ない内容だが、先の空き地の上に細道が通っていたので進んでみることにした。

この辺りは初めて足を踏み入れるエリアで、古くから農業が営まれてきた地域のようだ。

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道沿いにはポツポツと人家や廃墟となった農家がある。

さらに進むと、道は上の写真のように穴の中へ続いている。

f:id:akichiniiko:20200901180633j:plain道はかなり狭いが、軽自動車ならギリギリ通れるかもしれない。左右は竹藪が鬱蒼と茂っている。


f:id:akichiniiko:20200901180625j:plain藪の中には使われなくなった物置場らしきものがある。

f:id:akichiniiko:20200901180935j:plain道沿いの竹林。

f:id:akichiniiko:20200901180941j:plain穴道を抜けると、開けた場所に家や畑が見えてきた。

f:id:akichiniiko:20200901181018j:plain住んでいる街の近くにこのような場所があるとは思わなかった。周囲は森に囲まれており、畑が大きな川のように奥へ続いている。後で地図で調べてみたが、この場所にたどり着くには、さっきの細道やその他の細い農道を通るしかない。

f:id:akichiniiko:20200901181151j:plainこの辺りではおもに稲作が行われているが、耕作放棄地と思われる土地も多く見られた。

f:id:akichiniiko:20200901181251j:plain辺りは静かで、聞こえるのは給水栓から流れる水音のみ。

f:id:akichiniiko:20200901181144j:plain歩いてきた道を振り返る。奥に見える竹藪がさっき通ってきた場所。

この辺りに滞在したのは3、40分くらいだが、農作業をしている人の姿も、通行人の姿もない。少し不思議な感じがする。

これまで自分の街のほとんどのエリアは散策してきたし、訪れたことがない場所もネットの航空写真を眺めていて知った気になっていた。ただ、実際に訪れてみるとやはり発見や小さな驚きがある。

f:id:akichiniiko:20200901181358j:plain田んぼ道を進むと藪に突き当たり、中へ続く石段があった。

神社があるのかと思い階段を少し登ると、荒れた藪の中に墓地が佇んでいるのが見え、それ以上進むのが憚られた。

いったん引き返し、農道を通って住宅街の方へ向かうことにする。

f:id:akichiniiko:20200901181431j:plain農道沿いの藪には不法投棄されたゴミや、それを警告する看板があった。この様子からも、この辺りは人の往来がほとんどないことがわかる。

その後、田んぼ沿いを進んでいくと分譲住宅が立ち並ぶ街が見えてきた。

f:id:akichiniiko:20210528214435j:plain古い農家や田園風景に目が慣れていたので、この新興住宅地が目に入った時はタイムスリップしてきたように感じられた。

この街がニュータウンとして開発され始めたのは1980年代。そして、写真に写っているエリアが開発され、家が建ったのはつい数年前だ。

なお、ニュータウン開発前(1970年代以前)は、この街にも先ほど見てきたような田園や森が広がっていたことがわかった*1 空き地散策のついでに、思いがけず地域の過去を窺い知ることとなった。

 (no.432 茨城県)

 

*1:国土地理院地図の「年度別写真」(航空写真)を参照。 

https://maps.gsi.go.jp/#5/36.104611/140.084556/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1(2021.8.13.閲覧)