空き地図鑑

空き地、更地、使われていない資材置き場、オープンスペース、祭祀場、住居跡地など、「空いている場所」がもつ様々な機能、意味、魅力を探ります。 (※本ブログに掲載の写真および文章の無断使用(転用・転載など)は禁止しています。)

無名の遺跡7 2棟のビル跡地

茨城県水戸市のビル街で見つけたL字型の空き地。

県庁所在地である水戸市の中心街は空洞化の問題を抱えており、街を歩いていると空き家、空き店舗、空き地などをよく見かける。

この空き地の過去の姿をストリートビューで確認したところ、少なくとも2018年頃まで、4階建てと5階建ての2つのビルが立っていたことがわかった。これらのビルに入っていたものは、店舗ではなく事務所だったようだが、業種まではわからない。

経費削減のためか、この空き地は基礎が解体されておらず、間取りの跡、マンホール、金属レール等の様々なものが残されている。

下がこの空き地の見取り図で、赤丸と矢印は上の写真の撮影地点・撮影方向を示したもの。

5階建てビル跡地の東端の様子。

道路沿いにはチェーンの柵が設けられている。また、敷地の端には出入り口の戸に使われていた金属レールが残されている。

5階建てビル跡地の中央付近の様子。

ここには柱と壁の跡が残っており、フロアが大きく3部屋に区切られていたことがわかる。

道路側に残る柱の跡。

敷地奥に残る柱の一部。

柱や壁の痕跡以外にも、所々地面のコンクリートが割れている箇所がある。

おそらく、それらは何らかの設備跡だろう。

敷地の奥に、マンホール跡か配管跡らしき3つの穴が並んでいる。

撤去されず、埋もれたままの塩ビパイプもある。

5階建てビル跡地の西端の様子。

なお、写真左奥の影の一角は、4階建ビル跡地の北側になる(下の写真)。

4階建てビル跡地の北半分

綺麗な状態の水道メーターボックスも残っている。

そして、ここが4階建てビル跡地の南側

地面には、水道メーターボックス、排水桝、レール跡など様々な痕跡が残る。

奥のほうに残る排水桝らしきもの。ベニヤで蓋がしてある。

4階建てビル跡地の全景

 

隙間や痕跡に生育する草花

敷地内で特に目を引いたものは、コンクリートの穴やひび割れなどに根付いた植物の姿。

このマンホールは蓋が少し浮いており、その隙間から草花が顔を覗かせている。

使われなくなったメーターボックスなどに草が生え、天然の箱庭のようになっている。

それぞれの「庭」は、完全に草に覆われておらず、適度に空いている所が良い。

これは配管を撤去してできた穴だろうか。ノゲシと思しき背の高い雑草が根付いている。

 

(no.510 茨城県)