街を歩いていると、特徴的な"もの"が存在する空き地に出会うことがある。
たとえば、建物が解体され、その一部が取り残された住居跡地、自然に根付いた樹木や草花が目を引く空き地、粗大ゴミが投棄された空き地などなど。
上の写真の空き地には大きな鉄塔がそびえ、足下の緑と相まって心地良い景色が生まれていた。
この姿を眺めていると、空き地はただの未開発地ではなく、シンボル(鉄塔)が存在する一つの独立した広場に思えてくる。
子供の頃、家のそばにブランコや滑り台などの遊具が置かれた公園があり、その中に小さな象のオブジェがあった。なぜかこのオブジェが私の友人たちの間で人気となり、長い間その公園は「ゾウさん公園」と呼ばれ親しまれていた。
ところが、ある時そのオブジェだけが撤去されてしまい、それからその公園は味気ないただの広場に変わってしまった。
ここでは鉄塔が撤去される心配はなさそうだが、いずれ空き地のほうが開発され、両者が一体となったこの景色は失われてしまうのだろう。
北西の角から見た空き地の全体像(2019年5月撮影)。
鉄塔は南側の道路沿いに立っている。敷地内は除草剤が撒かれているせいか、5月にしては雑草が少ない。
2年後(2021年7月)の様子。
2019年5月。
2021年7月。
南西の角から見た空き地の全体像。
南北が30m、東西が80mメートルほどで、約700坪の広さがある。
この空き地の過去の姿を航空写真*1で確認すると、この鉄塔は1970年代に建てられたことがわかった。また、1960-80年頃の航空写真では、ここが農地利用されていた様子が窺えたが、画像が不鮮明なため確信は持てない。ただ、少なくともこの60年間、この空き地に鉄塔以外の建物や施設が造られたことはなさそうである。
南東の角から見た空き地の全体像。
(no.503 茨城県)
*1:国土地理院HP「地理院地図」(https://maps.gsi.go.jp)の「年度別写真」を参照。