(no.143 武蔵小金井駅近くの空き地)
上の写真は、再開発工事が進むエリアで見つけた空き地。
敷地内はアスファルト舗装されたところと砂利が敷かれたところが混在している。おそらく、かつて別々だった土地が、区画整理の計画に沿って新しく区分けられたのだろう。
ここでは、東小金井駅と武蔵小金井駅周辺の再開発工事が行われている地域にあった空き地を紹介してみたい。
景観の特徴
市街地の再開発では、古い敷地が統合・整理され、そこに新しい建物、公園、道路などが造られる。
今回見たところでは、開発予定地に古い建物があれば、それは一度解体され、新設工事まで空き地のままにされていた。
開発予定地が駐車場や道路だった場合、解体後に柵が設けられたり、あるいは、解体されずにそのまま柵が設けられ、人が立ち入れないようになっていた。
そして、これらの空き地には、かつての建物、駐車場、道路の一部が痕跡として残されていることが多い。
また、空き地を囲う柵として、オレンジ色の網、工事用フェンス、単管パイプなどが使われ、そこが工事中あるいは工事予定地であることを周囲に示していた。
魅力と感想
仮設の目立つ柵に囲まれたり、何かの痕が残った空き地には独特の魅力がある。
上の写真の空き地も、柵で囲われた中に道路の一部が残されており、以前ここがどのような姿をし、何に使われていたか推測する面白さがある。
また、単管パイプなどでつくられた柵はいかにも急ごしらえで、宅地などとして売り出されている空き地にはない雑然とした佇まいがある。これもこの空き地の魅力だろう。
しかし、私は他の多くの空き地が持つひっそりとした佇まいや、人々から忘れ去られているような雰囲気が好きなので、工事途中の空き地がもつ慌ただしい雰囲気があまり好きになれなかった。
例えば、住宅街にある売り出し中の空き地は、いつ買い手がつき、建物が建てられて寿命が尽きるのか、第三者にはわからない。
それに対し、ここで紹介する空き地は、生まれた当初から工期という形で寿命が決められ、間もなく無くなってしまうことが示されている。その短命さゆえの、儚さを感じさせる佇まいや、落ち着きのない雰囲気が好きになれなかった理由だと思う。
◎東小金井駅周辺
駅の正面には、道路工事中のフェンスに囲まれた空き地があった。
工事中の内部の様子。古いコンクリートが見えるが、右側には新しく舗装された部分もある。
同じ空き地を別の角度から撮影。
引いた位置から撮影。
フェンス前の標識によれば、今年度(2017年度)以降、ここは「駅前交通広場ロータリー」となり、バス停やタクシー乗り場ができるそうだ。
(no.144 東小金井駅近く)
隣にも、少し小さい工事中の空き地があった。
同様に、古いコンクリートの一部と、新しいロータリーになる部分ができている。
(no.145 東小金井駅近く)
これも東小金井駅前にあったやや細長い、不整形の空き地である。
奥には、下の写真のようなやや広いスペースがある。
今後何がつくられるのかわからないが、フェンスが単管パイプではないので、このまま残されるのかもしれない。
(no.146 東小金井駅近く)
さらに、同駅の新ロータリーの近くにはオレンジネットに囲まれた空き地があった。小金井市が公開している工事計画*1をみるかぎり、ここは整地されるだけで、道路や建物はつくられないようだ。
これは約1ヶ月前(2016年4月30日)に撮影した敷地内の様子。
1ヶ月後(5月28日)の様子。
反対側から撮影(4月30日)。
5月28日撮影。
長い間空き地のまま残っているのだろうか。それとも、何かが建っていて最近解体された場所だろうか。
なお、この空き地の隣にも、下の写真のように使われていないがらんとした一画があった。↓
(no.147 東小金井駅近く)
これは、かつて駅前駐輪場として使われていた土地で、再開発事業に伴い閉鎖された模様。
ここは人通りの多い道路沿いにあるが、周囲から目立たずひっそりとしている。
敷地内には工事用の看板、単管パイプ、ブルーシート、コンクリートブロックなどが無造作に置かれ、アスファルトの隙間から雑草や雑木などが生えている。使われなくなってから、少なくとも2、3年は経過していると思われる。
(no.148 東小金井駅近く)
ここは、おそらく左隣の建物の駐車場として使われていたと考えられる。しかし、現在はこのように柵で囲まれ、使われている様子はない。
工事計画を見るかぎりでは、道路や建物になるのでなく、整地されるだけのようだ*2。
中には赤く錆びた鉄板が置かれている。
(no.149 東小金井駅近く)
表通りから少し入った住宅街にも単管パイプで囲まれた空き地があった。
ここも、おそらく新しい道路になるのだろう*3。
(no.150 東小金井駅近く)
かつて、この空き地の一部には建物が建っていたようだが、訪れた際は広い更地になっていた。
雑草よけシートが敷かれた一画がある。
ここも工事計画書には整地されることが示されていた。
すでに整地された後にも見えるが、土の地面、砂利の地面、雑草よけシートが敷かれた地面などがあり、パッチワークのような面白さがある。これらの姿の違いは、以前あった区画を表していると考えられる。今後、再開発によってどのように区画が整理されるだろうか。
(no.151 東小金井駅近く)
◎武蔵小金井駅周辺
ここは武蔵小金井駅の北口側にあった空き地である。
引いた所から見た全体像。
おそらく、ここはかつて駐輪場(またはバイク置き場)だったと考えられる。
地面に残されている白線は、おそらく駐車スペースを区切っていたものだろう。
奥の方の区画。
ここには工事用フェンスが置かれている。
南口では再開発が盛んだが、近年北口でも再開発の検討が進められているようだ。
まだ市のHPには、北口の具体的な工事計画が掲載されていないので、この空き地がその一環でできたものかはわからない。ただ、北口にはいくつも工事中の空き地があるので、すでに計画は進んでいるのだと思う。
(no.152 武蔵小金井駅近く)
先ほどの旧駐輪場の隣には、バイクの駐車スペースがあった。写真手前は、まだ使われていたが、奥は空き地として使えなくなっている。
さらに隣にはフェンスで囲まれた別の空き地があった。
(no.153 武蔵小金井駅近く)
駅近くの線路沿いにあった工事中の空き地。
高架に近い辺りのフェンスに囲われた空間。
その左側の空間。
武蔵小金井駅付近は何年も前から月1〜2で通勤していたのだが、ここに何があったのか思い出せない。
写真では見えにくいが、コンクリート部分にラインが引かれているので、きっとここも駐輪場だったと思われる。
(no.154 武蔵小金井駅近く)
おまけ
ちなみに、記事冒頭の写真は2016年に撮影したものだが、2020年に再訪したところ、まだこの空き地は残されていた。
すでに駅前は再開発が済み、新しい建物や施設に姿を変えた土地が多いのだが、ここは何らかの理由で開発が控えられている模様。
4年が経ち、スペース内は雑草や雑木が成長して荒れてきている。
敷地内に置かれたパイロン や簡易柵も緑に埋もれつつある。
空き地を囲むフェンスの上に単管パイプが組まれており、道具置き場になっていた。
しかし、スペース内には何も置かれておらず、使われている様子はない。
なぜこの空き地はまだ開発されないのか?そもそも何らかの目的があって空けられている場所なのか?
何とも不思議なスペースである。
*1:参照:小金井市公式ウェブサイト「東小金井駅北口土地区画整理事業 施行予定箇所図(平成28〜30年度)」https://www.city.koganei.lg.jp/shisei/seisakukeikaku/machitoshi/machizukuri/machizukuri_news/D0607010.files/Koganei_Machidukuri45_2_3.pdf
*2:前掲、「東小金井駅北口土地区画整理事業 施行予定箇所図(平成28〜30年度)」を参照
*3:参照:同上。