侵食し始めた緑
今年(2024年)の春に訪れた、300坪ほどある広めの空き地。
前年まで、ここにコンビニエンスストアがあったが、撮影時から遡って数ヶ月〜半年ほど前に解体されたようだ。
敷地内はまだ雑草がまばらにしか生えていない。
しかし地面を観察すると新しい草がたくさん芽吹いているので、程なくして敷地全体は緑に覆われてしまうだろう。ちなみに、普段空き地を回っていても、このように植物が侵食し始めた場所に出会う機会は少ない。
新しい命が次々と芽吹き、成長していく姿を見ていると「地」が持つ原初的な魅力を感じる。
なお、この空き地で最も目を引いた植物は菜の花だ。菜の花は河川敷で自生している姿をよく見かけるが、この辺りの空き地では初めて目にした。
あちこちに散らばって咲いており、鮮やかな黄色い点々で空間が彩られている。
種の入ったさやをついばむ鳥もいた。調べてみたらカワラヒワというようだ。
もちろん、敷地内には菜花以外の植物もたくさん根付いている。ハルジオンやナガミヒナゲシなどの姿もあった。どの草も、傾いた陽光に照らされて柔らかい雰囲気を醸し出している。
あらためて敷地内を見渡し、どこかにコンビニの痕跡が残されていないか探してみる。しかし、それらしきものはどこにも見当たらない。
写真手前に汚水枡や止水弁らしきものが突き出ているが、これらは過去に使われていたものではなく、整地後に新設されたものと思われる。
この辺りは地面に草が少ないので、最近まで工事車両が出入りしていた可能性がある。
土の上にはタイヤ跡らしき筋が薄く残っている。
南東の角から見た全体像。
(no.558 茨城県)
建設を待つ空き地住宅と商店が混在する地域で見つけた空き地。
広さは20坪程度と小さめ。
Googleストリートビューで過去の様子を確認したところ*1、ここは2020年頃まで砂利敷きの駐車場として使われていたことがわかった。
敷地内の様子。
使われなくなってから数年経過しているわりには、さほど草に覆われていない。定期的に除草作業が行われているのだろうが、駐車場だった頃の砂利が少し残っているので、それが多少防草効果になっているのかもしれない。
この空き地で目についた人工物は、蛇口付きの水栓、水道メーター、止水弁など。
実は、これらは古い駐車場が解体された後に新設されたものだ*2。近い将来、ここに建物や施設ができることを見越して取り付けたと見られる。
そして、最も気になったものが敷地の隅に立つ郵便受け。
一体どのように使われているのか謎である。
一つの可能性としては、ここは隣接する建物(店舗)に付属している土地であり、その店がこの郵便受けを利用しているケースが考えられる。
しかし、後で確認してみたところ、店の前には別の郵便受けがすでに備え付けられていた。
あれこれ考えてみたものの、結局これの利用者や用途についてはよく分からない。
将来、この空き地を再訪する可能性は低いが、郵便受けとともにこの空き地がどうなっていくのか、大変興味深い。
(2024.9.21.追記:前掲のストリートビューを再確認したところ、2022年10月に撮影された空き地の画像に、小さなプレハブ小屋が立っていたことがわかった。つまり、この郵便受けはその小屋に付属して設けたもののようだ。しかし、小屋は半年も経たずに解体されてしまっている*3。)
(no.559 埼玉県)
*1:Googleマップ/ストリートビュー、©︎2024年Googleの2019年2月、2021年2月、2022年10月、2023年3月の画像を参照。 https://www.google.com/maps/@35.9185815,139.4615033,3a,75y,211.29h,83.37t/data=!3m8!1e1!3m6!1syzdmCeqa-a41s5Q_Xn47hg!2e0!5s20221001T000000!6shttps:%2F%2Fstreetviewpixels-pa.googleapis.com%2Fv1%2Fthumbnail%3Fcb_client%3Dmaps_sv.tactile%26w%3D900%26h%3D600%26pitch%3D6.630235869354706%26panoid%3DyzdmCeqa-a41s5Q_Xn47hg%26yaw%3D211.29175559686837!7i16384!8i8192?coh=205410&entry=ttu&g_ep=EgoyMDI0MDkxOC4xIKXMDSoASAFQAw%3D%3D
(2024.9.21.閲覧)。
*2:前傾のGoogleストリートビューによる。
*3:同上のストリートビュー画像による。