森の中の空き地
人の手が加えられていない自然環境の中に、空き地が形成されることがある。
たとえば、上の写真のように、森の中の木がまばらに生えた場所が空き地になっているケースである。ここは、35年ほど前はただの草地だった。しかし、この間人の手が入らず、現在はこのような森に姿を変えている。
子供のころは、友人とよくこういう雑木林を探険したり、虫をつかまえにいったり、秘密基地をつくったりして遊んでいた。
また、時には一人だけで探険し、木漏れ日のあたる空き地でぼんやりと時を過ごすこともあった。
一人でいる時は、誰もいない静けさや空気感が心地良くもあり、独特のこわさを感じることもあった。
林の中の空き地は私の原風景でもあり、今でも特別な思い入れがある場所だ。
また、子供の頃に探険した森には、以前紹介した「東の御嶽」のように、大木の下に空き地ができていることもあった。大木の下は他の植物が育ちにくいため、自然に空き地ができることもあるのだろう。
こうした林間の空き地は、西洋絵画などでもたびたび扱われてきたモチーフでもある。
たとえばセザンヌの『林間の空地』、カミーユ・コローの『林間の空き地、ヴィル・ダヴレーの思い出』などをはじめ、テオドール・ルソーやディアズ・ド・ラ・ペーニャなどバルビゾン派の画家達も好んで森の中の空き地を描いている。
竹林の中の空き地
龍ケ崎市内では、農家の隣に竹林があるのをよく見かける。タケノコの生産のために竹が植えられることもあるが、防風林として植えられることもあるようだ。
林の中は、竹が密になって光が地面まで届かないところがあったり、写真のように光が差し込むような空き地部分もあった。
このように、自然の竹林には偶然竹が生えないところがあって、そこが空き地になっている。
しかし、農地の竹林の場合、毎年タケノコが刈り取られる部分が空き地になってしまうのではないだろうか。
円形の空き地
ここは林に隣接する広い空き地(半分は薮)の中にあった一画である。
低木や枯れた草で囲まれていて、一見すると、人工的につくられた場所にも見える。しかし、ここを含め、周囲には枯れ草と緑の雑草が不規則な模様のように広がっていた。そのため、この場所だけ偶然にきれいな円形ができたものと考えられる。
また、念のため過去の航空写真を参照したが、この場所に人工物が建っていた形跡はみられなかった。
この付近一帯の土壌は水はけが悪く、雨が降ると水溜まりができやすい。水溜まりのできる箇所と、そうでない箇所によって植物の種類や成育具合が変化し、このような自然の造形が生まれたのだろう。
なお、この地形に似たものとして「フェアリーサークル」とよばれるものが、アフリカのナミビア共和国などにあり、自然が形づくる円形の空き地として注目できる。
(以下 BBC-Earth"Mystery fairy circles defy explanation" および Amusing Planet"Mysterious Fairy Circles of Namibia"参照。)
BBC - Earth - Mystery fairy circles defy explanation
Mysterious Fairy Circles of Namibia | Amusing Planet