人口が減少している地域では、空き地が都市の衰退(空洞化)を示す指標になることがある。
一方、発展途上の地域においては、空き地が成長の伸び代と捉えられることもある。
また、街の発展や衰退という大きな動勢とは関係なく、単に街が維持されるなかで、建物の建て替えなどによって一時的に現れる空き地もあるだろう。
ここで紹介する空き地は散歩中や通勤途中などに見つけたものである。
このうち、龍ケ崎市内で見つけた空き地の多くは、都市の衰退を示しているようだった。一方、東京都内の空き地の多くは、都市の発展・維持の役割を担っているようだった。
長方形の空き地
龍ケ崎市の市街地にあったやや横長の空き地である。
ここには2年ほど前に建物が建っていたらしいが、解体された後も再開発されず、今もこうして残されている。
更地になって月日が経っているものの、雑草はそれほど生えていない。砂利を敷いているせいかもしれない。
地表の一部では砂利が流れ、ぬかるみが出来ていた。雨が降ればそこが水たまりになるのだろう。
限られた空間の中に、乾燥した土、石ころ、ぬかるみ、雑草の島などによって新しい地形が生まれている。子供の頃から、こういう場所を一つの世界として眺めることが好きだった。
(no.219 茨城県龍ケ崎市)
未開発の空き地
畑、原野、住宅が混在する地域にあった空き地である。
やや不整形で奥行きがある。
この空き地には建物の痕跡がみられず、一度も開発されたことがない土地に思えた。また、この辺りは開発が盛んな地域ではないので、この土地もしばらく残りそうである。
(no.220 茨城県龍ケ崎市)
鉄塔が立つ空き地
この空き地には外構が残されていた。
右隣の家の外構も同じデザインなので、隣家が所有する土地かもしれない。
Google Earthで過去の様子を見てみたが、最も古い2004年の画像にも、ここに建物の姿は写されておらず空き地のままだった。
しかし、当時も奥に立つ鉄塔らしき影が確認できた。
空き地が残されてきた理由に、この鉄塔が関係しているのだろうか?
少し不思議な場所である。
(no.221 茨城県龍ケ崎市)
防草シートとコンテナの空き地
空き地の半分には防草シートが敷かれ、もう半分にはコンテナが置かれていた。
シートは杭で固定され、上からブロックで押さえられていた。さらに、空き地の端やシートの隙間が玉砂利でカバーされていた。
これまで、何箇所かシートが敷かれた空き地を訪れたことがあるが、玉砂利が使われているのは初めてだ。
黒い画面に描かれた抽象画のように、ブロックの配置には何となくリズムが感じられる。また、空き地の端に貯まった白い玉砂利が、同系色のブロックと響き合って見えた。
隣の空き地は、コンテナを利用した物置き場になっているようだ。
側面に窓やドアが付いているが、おそらく後から付けたものではないだろうか。
シートが敷かれた場所にも、この場所にも、マンホールや古いコンクリートが地面に残されている。
かつてここには、何かの建物や施設があったのだろう。
(no.222 茨城県龍ケ崎市)
痕跡がわずかに残る空き地住宅街で見つけた空き地で、住宅跡地と考えられる。
内部にはゴミもなく、すっきり見えるところが魅力だ。日向と影の対比もきれいである。
この写真の左端には、かつてあった家の外構の一部(ブロック)が残されている。建物があった跡として、止水栓やマンホールもあった。
地表の雑草はあまり伸びてない。ここが更地になってからそんなに経ってないのかもしれない。
(no.223 茨城県龍ケ崎市)
この空き地も住居跡地と思われる。工事車両が入る場所だろうか、敷地の一部だけに砂利が敷かれていた。
端の方には水道管やメーターボックスなどが残されている。
それ以外で目につくものは、解体作業で出たであろう破片や雑草である。
また、この空き地の右隣にも同じような空き地があった(下)
地面の感じから推測すると、ここも隣の空き地と同時期に更地になったようだ。
ここにも水道のメーターボックス、蛇口、マンホールなどが残されていた。
(no.224〜225 東京都小平市)
地面が低い空き地これは、ホームセンター(右)と住宅地(左)の間にあった空き地。
ホームセンター側から見た様子。面積は結構広く、家が2、3軒は建てられそうだ。
そして、この空き地の特徴の一つは、地面が少し下がっていることである。
このように地面が湿った箇所があり、ここだけ姿の違う植物が生えている。おそらく、雨が降ればここに水たまりができるのだろう。
四方全てが道路に囲まれているのも珍しい。このような環境もこの空き地の大きな魅力と言える。
〈以下、2020年7月13日追記〉
一年ほど経過したある日、再びこの空き地を訪れてみた。
すると、空き地全体が大きな水たまりになっていた。前日に大雨が降ったせいでこうなってしまったのだろう。
敷地内では何やら工事が始まっていた。前回はなかった土砂の通路が新たに設けられている。ひょっとしたら、これから敷地全体が土砂で埋め立てられるのかもしれない。
(no.226 茨城県龍ケ崎市)
親しみにくい空き地
これは吉祥寺の住宅街で見つけた空き地である。
空き地の手前には標識があり、ここが国有地であることが示されていた。
それなりに広い土地だが、奥まできちんと砂利が敷き詰められている。この空き地の特徴は、このように整備が行き届いた姿にある。
しかし、国有地の標識、しっかりとしたフェンス、門などからは近寄りがたい印象を受けた。
きれいだが、少なくとも私にとっては親しみにくい空き地だった。
(no.227 東京都武蔵野市)
夜の空き地
夜に歩いていた時に、たまたま見つけた空き地である。
この辺りは建物が密集しているので、ぽっかり空いたこの場所が目立っていた。また、窓からの光が空き地を照らし、良い雰囲気だった。
この付近は小さな店構えのレストラン、喫茶店、居酒屋などが点在している。この空き地にも、何かの店があったのだろうか。
空き地を撮影中、端の方でしばらく猫が鳴いていた。
(no.228 東京都台東区)