空き地図鑑

空き地、更地、使われていない資材置き場、オープンスペース、祭祀場、住居跡地など、「空いている場所」がもつ様々な機能、意味、魅力を探ります。 (※本ブログに掲載の写真および文章の無断使用(転用・転載など)は禁止しています。)

シートが敷かれた空き地

空き地が新しくできると、やがて地面から雑草が芽を出し、上の写真のように成長・繁殖して敷地全体を覆ってしまう。

緑の空き地には、夏場の気温低減や都市型洪水を抑制する効果があるが、身近に触れられる自然として情緒的な恩恵ももたらしてくれる。

ただ、一般的には、雑草を放置することによる虫の発生や敷地内環境の悪化が問題視されるケースが多く、その対策として防草シートが使われることがある。

シートが敷かれた空き地については、このブログでも何度か紹介してきた(下リンク参照)。

シートとそれを固定するための重し・杭にはバリエーションがあり、また、施工の精度にもばらつきが見られる。これらの姿を観察すると、それぞれの土地におけるシートの設置目的や、設置してから経過した時間についてある程度推測することができる。また、場所によっては施工者の性格が窺えることもあり、これらの点がこの種の空き地の面白さだと思う。

この記事では、シートが敷かれた区画を中心に、9か所の空き地を記録として紹介したい。

 

 

駐輪場跡地

f:id:akichiniiko:20220410212621j:plainこれは東京都小金井市の商店街で見つけた空き地。

黒いシートが敷かれた区画は駐輪場の跡地で、その左隣には運送トラックの停留所跡地とみられるコンクリート舗装された区画がある。

シートの区画。2021年までは、ここに2階建ての「武蔵小金井北第一自転車駐車場」があった。しかし、おそらく今年(2022年)に入ってから解体されたと思われる。シートは真新しく、まだほころびは生まれていない。しかし、シートの質や施工技術によっては、数年で穴が空いたり、めくれたりして、そこから雑草が生えてくることもある。

f:id:akichiniiko:20220410213758j:plainシートは杭と土のうでしっかり固定されている(敷地南側から撮影)。

f:id:akichiniiko:20220410213905j:plain東側を通る道から見た様子。新しい木の柵は、次の開発工事に備えて設置されたのだろうか。

f:id:akichiniiko:20220410214058j:plainこの道路沿いからは、あとで紹介する隣の区画(トラック停留所らしき跡地)の傷んだ地面が見える。アスファルトの隙間からたくさん雑草が生えている。

f:id:akichiniiko:20220410214015j:plainシートの空き地の隅には、水道メーターボックスと散水栓が残る。それらの形に合わせて丁寧にシートがカットされていた。

さて、次に隣にある舗装された区画を紹介したい。

ここには、2017〜2018年頃まで屋根付きのトラック停留所らしき施設があった。

f:id:akichiniiko:20220410213951j:plain敷地内の様子。過去のストリートビュー画像には、運送会社や警備会社のトラックが停まっている様子が写されていた。このことから、ここは停留所跡地と考えられるが、実際のところは不明。

f:id:akichiniiko:20220410214005j:plain敷地中央に一つだけ機械のようなものが取り残されている。一体何に使われていたのだろうか。

f:id:akichiniiko:20220410214158j:plain奥にある台上の基礎部分は、かつてプレハブ小屋が立っていた痕跡である。

南西の角から見た2つの空き地。

将来、これらの空き地にはそれぞれ何がつくられるのだろうか。ひょっとしたら、2つの区画を合わせて大きな建物が建つのかもしれない。

(no.473-474 東京都)


区画整理中の空き地①
f:id:akichiniiko:20220401120058j:plain土地区画整理事業が進められている地区にあった空き地(2022年撮影)。

この事業は2027年度まで行われる予定で、施行区域はおよそ12ヘクタールに及ぶ。

f:id:akichiniiko:20220401120046j:plainもともとこの空き地には家が建っていたと考えられるが、どのタイミングで解体されたかは不明。ただ、この事業の施行開始は1997年度なので、20年以上空き地のままという可能性がある。シートの杭の穴からは枯れ草がはみ出し、時間の経過が窺える。

(no.475 埼玉県)

 

区画整理中の空き地②

f:id:akichiniiko:20220401115946j:plain一つ前のものと同地域にある空き地。

シートはきれいに張られており、設置からあまり時間が経過していないように見える。おそらく、この区画は住宅用地として管理されているのではないだろうか。

(no.476 埼玉県)

 

区画整理中の空き地③

f:id:akichiniiko:20220401115826j:plainこれも先と同地区にある空き地。

右には道路が通っているが、左手前から奥にかけてL字型に空き地が伸びている。そして、この空き地には一部だけにシートが敷かれている。

f:id:akichiniiko:20220401115853j:plainシートが敷かれた部分。ここにだけに敷いた目的は、左の建物に雑草被害が及ばないようにするためだろう。杭は打たれているように見えず、隙間がたくさんできている。とりあえず、一時的な対策として敷いたものに思える。なお、奥にある広い空き地にはシートが敷かれていない(下の写真)。

f:id:akichiniiko:20220401115919j:plain先ほどと反対側の角から撮影(先の撮影場所は写真左奥)。

このように、区画整理事業が進む同地区内であっても、シートが敷かれている場所とそうでない場所がある。これは、たんに区画ごとに管理者が異なるせいだと思うが、この日観察した限りでは、敷地全体にシートが敷かれていたのは住宅用地と思しき区画だけだった。

一方、同地区内には住宅用地かどうか判断しづらい空き地もいくつかあった。

上の3枚がその例だが、これらは不整形地、立地からして住宅用地以外と考えられる土地、狭小地である。これらの空き地にはシートは敷かれていなかった。

(no.477-480 埼玉県)

 

グリーンシートの空き地

f:id:akichiniiko:20200214222817j:plain吉祥寺の商店が立ち並ぶ道沿いにある空き地。

すぐ裏手は住宅街になっており、この空き地にもかつて家が立っていたようだ。しかし、2018〜2019年ごろに解体された模様。

f:id:akichiniiko:20200214222831j:plain 敷地の端まで、隙間なくきれいにシートが張られている。やはり、地価の高い土地は管理もしっかりしている印象がある。

この空き地は、このあとすぐに買い手がつき、2021年にはカフェがオープンした。しかし、新型コロナウィルス感染症の影響により、今年に入って閉業してしまった。

(no.481 東京都)