空き地図鑑

空き地、更地、使われていない資材置き場、オープンスペース、祭祀場、住居跡地など、「空いている場所」がもつ様々な機能、意味、魅力を探ります。 (※本ブログに掲載の写真および文章の無断使用(転用・転載など)は禁止しています。)

中央帯の空き地2(南多摩尾根幹線道路/ みなみたまおねかんせんどうろ)

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大きな中央帯の空き地を撮影しに、南多摩尾根幹線道路(みなみたまおねかんせんどうろ)を訪れた*1 

南多摩尾根幹線道路は、多摩ニュータウンの南側に位置し、東西方向に伸びる道路だ。

道路の延長は約16.6㎞あり*2このうち幅の広い緑の中央帯があるのは、東急自動車学校付近〜多摩大学多摩キャンパス付近までの約7.6㎞と、杜の一番街北交差点〜稲城福祉センター入り口交差点までの約2㎞の、合計約10㎞である*3

そして、今回探索したのは、多摩市総合福祉センター前交差点〜多摩南野交差点までの、約1.4㎞の範囲

ルートは、唐木田駅から幹線道路に出て、調布方面に移動。途中にあった2カ所の橋の上から撮影を行った。

 

f:id:akichiniiko:20180528122309j:plain1カ所目の橋の上から、調布方面に伸びる中央帯を撮影。

素晴らしい空き地である。長さはもちろんのこと、この辺りの横幅は約20メートルもある*4 

f:id:akichiniiko:20180528121725j:plain同じ橋から見た、反対側の相模原市方面唐木田駅の方向)に伸びる中央帯。

 

f:id:akichiniiko:20180528122056j:plain空き地の中には、一部に舗装された道路があった。

しかし、風雨で少しずつ土が運ばれたのだろう。それがアスファルトの上に堆積し、そこに雑草が根を張り侵入してきている。

道路と土の地面の境界がなくなり、人工物と自然物が同化した魅力的なテクスチャーが生まれている。

 

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 空き地といえば、不法投棄である。

しかし、この空き地は、広いわりにゴミがほとんどなく綺麗だ。市の清掃が行き届いているのがわかる。

 

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これだけ空き地が余っているなら片側2車線の道路がつくれそうだが、現在のところ1車線である。

実は、この道路はまだ工事が完了しておらず、大半が「暫定2車線区間」に指定されている。そして、将来的には全線4車線(片側2車線)になるようだ*5 

f:id:akichiniiko:20180528124614j:plainまた、この中央帯は起伏があることが特徴だ。

上のように2、3メートルくらいの高さの所もあれば、道路と同じ低い所もある。

高い理由は、おそらく最初の道路工事に伴って出た土砂が置かれ、長い間そのままにされているからだろう。

しかし、調布市方面の中央帯はすでに整備が進んでおり*6、そこは雑草の生えた空き地ではなく、樹木や芝等できれいに整えられた植栽地になっている。

今回訪れた範囲にも、今後新しい車線がつくられる予定なので、これらの空き地は削られて狭くなるか、ほとんどなくなってしまう可能性がある。

仮に、幅のある空き地が残されたとしても、植栽工事が行われ、雑草の姿は無くなってしまうだろう。

 

f:id:akichiniiko:20180528210426j:plainf:id:akichiniiko:20180528210438j:plain路上から撮影した土砂が置かれてない空き地。古いフェンスの所、新しい所など様々。 

f:id:akichiniiko:20180528210610j:plainさらに唐木田駅から遠ざかり、2カ所目の橋の上から撮影を行った。

上は、調布市方面に伸びる空き地である。土砂の丘の造形も面白く、インパクトのある景観だ。この辺りの横幅は、先ほどより広く34メートルくらいある*7

f:id:akichiniiko:20180528211131j:plainf:id:akichiniiko:20180528211138j:plain空き地の大きな魅力の一つが、雑草の存在である。

乾いた土が覗く様子は、まるでサバンナ地帯を空から眺めているようで、見ていて飽きない。

そもそも、私は雑草をずっと眺めていられる性格だ。

f:id:akichiniiko:20180528210714j:plain同じ2カ所目の橋の上から、歩いてきた方向(相模原市方面)を振り返る。

柵の中は、レジャーシートやテントなど持ち込みたくなるような空間だ。

公園や広場よりも、こういう場所でこそピクニック的なことをしたくなるのだが、そう思うのは自分だけだろうか。

ごくたまに、魚がいないような水路や溜め池で、釣り糸を垂らしている人を見かけることがあるが、近しいものを感じる。

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ここにもゴミが落ちているが、使われていない空き地らしくて良い感じである。

ちなみに、この中央帯の空き地に付随して、小さな安全地帯のような空き地もつくられていた。↓

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標識を立てるスペースでもあり、また、事故などの緊急時に避難場所として使われたり、道路工事の際の荷物置き場などに使われるのだろう。

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ここも同じで、マンホールの管理スペースでもあり、かつ、別の目的も想定したゆとりスペースと思われる。

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今回訪れた中央帯の空き地は、近い将来開発され、現在の姿は無くなってしまうことがわかった。

それにしても、道路の中央に、これだけ広く未整備の土地が残されているのは、かなり珍しいのではないだろうか。

なお、国内には北海道の大通公園、名古屋の久屋大通公園若宮大通公園など、広い中央帯が公園として整備され、利用されているケースもある。

 

今から50年ほど前、多摩丘陵の自然や田園を切り拓き、多摩ニュータウンの造成工事が開始された。

この未開発の中央帯は、そんなニュータウンの歴史の浅さを表している。それは見る者に殺風景で寂しい印象を与えるかもしれないが、私は開放的で良い印象を受けた。

私は、未利用の空き地の殺風景で寂しい佇まいも好きだし、目的が定まっていない自由な雰囲気や自然物の野生の生命力を感じさせてくれるところも好きである

いつかなくなるこの空き地も、都市風景が持つ魅力の一つとして記憶しておきたい。

(no.185 南多摩尾根幹線道路 / 東京都多摩市) 

(no.186〜187 中央帯付設の空き地 / 東京都多摩市)

 

 

 

*1:2018年5月4日撮影。道路名称は、東京都建設局ホームページ参照。

http://www.kensetsu.metro.tokyo.jp/content/000030288.pdfl

*2:参照:東京都都市整備局ホームページ「南多摩尾根幹線の整備方針」http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/kiban/minamitama/pdf/slide.pdf?1503

*3:あくまで、現時点のGoogle マップの航空写真で確認した情報(2018年5月5日閲覧)。また、道路の距離はGoogle Earthで計測。

*4: Google Earthで計測。

*5:2015年に東京都都市整備局が策定した「南多摩尾根幹線の整備方針」による(前傾、東京都都市整備局ホームページ「南多摩尾根幹線の整備方針」参照。

*6:Googleマップの航空写真で確認

*7: Google Earthで計測。