使われていない駐車場にも、他の空き地同様、何ともいえない魅力がある。「殺風景」という語は、「単調で趣のない」、面白味がないなどの否定的な言葉だが*1、むしろそのような場所に私は情緒を感じてしまう。
これまでも、このブログでは様々な使われていない駐車場を紹介してきた。
→使われていない駐車場3 - 空き地図鑑 使われていない駐車場2 - 空き地図鑑 使われていない駐車場 - 空き地図鑑
「使われていない」とはいえ、一時的に使われていない駐車場はどこにでもある。そこで、このブログでは閉店した店や空き家に付属する駐車場などを中心に、ある程度の期間使われてない(あるいはそのように見える)駐車場を紹介している。
なお、使われていない駐車場の中には経年によって傷みが目立ってきたものもあり、廃墟、廃道、廃線などと似たような魅力を感じる。使われていた頃の様子を想像したり、使われなくなってからの時間を感じたり、あるいは寂れた姿を味わったりできる。しかし、たとえ使われなくなったばかりのきれいな駐車場でも、私は前述のように過去の姿を想像して楽しんでいる。とりわけ、閉鎖した建物に隣接する駐車場は、建物自体の寂しげな雰囲気と相まって何ともいえない空虚な魅力がある。そこには、人が立ち去った後の残り香のようなものが感じられたり、利用目的を失った空間特有の自由な雰囲気が感じられる。
閉店した衣料品店の駐車場
通勤中、いつも目にしていた衣料品店だったが、いつの間にか閉店していた。
店舗や看板がきれいなので最近閉まったように見える。しかし、この店は3年も前に閉店していたようだ(なお開店は4年前)*2。
駐車場も傷みは少なくきれいな状態だ。
閉鎖された駐車場の出入り口。
隙間にはエノコログサが並んで生えている。
わずか1年間の営業とはいえ、閉鎖した建物を見ると一度入っておくべきだったと後悔してしまう。
しかしここは交通量の多い道沿いにあるので、そのうちまた新しい店ができるだろう。ひょっとしたらこの建物も、居抜き店舗として再利用されるかもしれない。
(no.347 茨城県龍ケ崎市)
使われていない駅舎横の駐車スペース
駅舎の脇にあった空きスペース。
駐車場か、あるいは何かを搬入する際の作業スペースとみられる。
現在も利用されている可能性があるが、囲いがあるので長い間使われていないように思える。
白線はかすれ、アスファルトも傷んでいる。
面白いカラーコーンの補修法だ。赤いインクを使っているのだろうか。
右側のボトルは古くなって退色してしまったのだろう。
似たようなものとして、以前、タオルで自作されたラバーポールを見たことがある。
(no.348 茨城県龍ケ崎市)
寂れた広めの駐車場
ここは何の駐車場だろうか。近くに店らしきものは見当たらないので、ただの月極駐車場かもしれない。
地面は傷みが進み、放棄された時間を物語っている。
撮影中、一人の女性が写真の奥の方から歩いてきて敷地内を通り過ぎていった。どうやら、ここは付近の住人が近道として使っているようだ。
敷地の中央付近もだいぶ傷んでいる。駐車スペースに沿って雑草が生えているのが面白い。
春に再訪したら葉が芽吹いていた。
今はこの照明灯も使われていないだろう。
色んな場所に草や低木が生えている。
これも春には葉を茂らせていた。
敷地の角。右奥のほうから歩いてきた。
ここにはカラス避けのネットらしきものがある。標識が見当たらないがゴミ集積所なのだろうか。
さらに、ここから写真左側にある小道に沿って観察してみる。
敷地内を走る雑草線。
すぐに敷地の角に着いた。
左奥にある先ほどの照明灯を左折すると、さらに奥へ敷地は続いている。しかし公道から観察できるのはここまでだった。
(no.349 茨城県龍ケ崎市)
ビル街の駐車スペース
大阪旅行の際、ホテルのそばで見つけた空き地。
入り口に鉄板が敷かれているのでおそらく駐車場だろう。
ひょっとしたら現在も使われているのかもしれないが、鎖が張られているし、標識も見当たらない。
敷地はブロック塀で囲まれており、高さがない所は単管パイプの柵が設けられている。
内部の様子。右の黄色いポールの下には「止水付メーター」と書かれた水道メーターボックスがある。
つまり、かつてここには建物が建っていた可能性がある。おそらく敷地を囲う塀はその痕跡ではないだろうか。
こちら側には看板の骨組みが残されている。
敷地内には車止めもなく、少し謎めいた佇まいである。
(no.350 大阪府大阪市)
閉店した銀行の駐車場
これは閉店した地方銀行の駐車場跡地。
敷地は細長く奥行きがある。営業当時も、このように舗装されていなかったのかもしれない。
撮影中に付近の住人らしき男性に話しかけられた。話によれば、この辺りにはもともと古い建物が多いが、最近取り壊されて空き地が増えているそうだ。
(no.351 茨城県龍ケ崎市)
閉校した学習塾の駐車場
閉校した学習塾に駐車場跡らしきスペースがあった。
おそらく従業員用の駐車スペースと思われる。しかしスペースを区切る印などはなく、はっきりとしたことはわからない。
敷地内にはゴミは落ちてないが雑草が伸びていたり、
壁には落書きがされて荒れてきている。
校舎の入口。
ここはJR線の駅にほど近いが、付近には寂しい雰囲気が漂っていて、発展する気配は感じられない。
(no.352 茨城県龍ケ崎市)
閉店したホームセンターの駐車場
これは半年以上前に閉店したホームセンターの駐車場。
奥に建っているのが店舗で、この広い駐車場には約390台駐車できる*3。
もちろん敷地内には入れないので、周囲から見た様子を記録しておきたい。
店の外観。建物の面積はおよそ2100坪ある*4。
屋根のついた半屋外スペースには、エクステリア・園芸資材、野菜や花の苗、花木などが売られていた。
私が知るかぎり、ここから半径5km以内に別のホームセンターが3つある。それぞれの店で売られている植物は微妙に種類が異なっていて、この店にしか売っていない草花もあった。
アーチ型の柵と壁の間には歩行者通路があり、徒歩で訪れた時によく通っていた。
駐車場の出入口は全部で3箇所ある。ここは南側。
門の内側の様子。
奥にあるように、敷地内にはいくつか植栽地が設けられている。
営業中は意識していなかったが、いま見るとアスファルトの水面に浮かぶ島のようだ。
植栽地の島を離れて東のほうへ移動する。
右奥にもう一つ植栽地の島がある。敷地の隅にも近付いてきた。
ここが南東の角。
ここから今度は北方向へ歩いてみる。
特に目に付くものは何もない。ガランとした心地よい空間が広がる。
東側の出入り口
門の内側の様子
敷地内はゴミもなくきれいだ。地面の傷みも少しあるくらい。
もしここに自由に入ることができたら、ぶらぶらと敷地内を散歩したり、車止めに腰掛けて何か飲みながらぼんやりしたり、寝転んで空を眺めたりしたい。
北東の角まできた。
ここには照明灯が立っている。ところで柱の途中に付いている四角いのは何だろうか。
角を曲がり、北側出入り口のほうへ移動する。
右奥にまた植栽地が見えてきた。
3つ目の植栽地の島。
北側にあるメインの出入口に着いた。
門の内側。
ゆっくり周りを歩いたので、だいぶ日が傾いてしまった。
大きな店が閉まってしまい、この辺りは寂しくなると思っていたが、ここにはいずれ別会社のホームセンターが入るようだ。
(no.353 茨城県龍ケ崎市)
----- 以下、2020年5月13日追記 -----
閉店したゲームセンターの駐車場(一部)
これは閉店したゲームセンターのサブ駐車場。閉店時期は、撮影時から遡って1年以上前になる。このスペースには40台くらいは駐車できそうだ。
なお、写真左端の見切れている道を挟んでメイン駐車場と店舗がある。それらについては『空き地学』vol.3で紹介し、無人になって間もない空間の魅力について述べた。
メイン駐車場には約800台分の駐車スペースがあるので、このサブ駐車場が使われることはあまりなかったのではないだろうか。
敷地内で目を引いたものといえば、この物置のようなものだ。単管パイプとネットだけの簡素な造りである。
扉のようなものが4つ付いている。何か大きなものを収納していたのだろうか。
奥の竹林そばのスペースは落ち葉などで埋れてきている。
(no.354 茨城県龍ケ崎市)
*1:松村明・三省堂編修所編『大辞林 第三版』三省堂、2006年、1018頁。
*2:参照:「日本全国スーパーマーケット情報」https://ajsm.jp/Shop069194.html
*3:Google マップの航空写真を参照。
*4:「Google Earth Pro」(構築日2019/3/5)の定規機能で計測。