空き地には緩衝機能を備えたものがあり、道路の一部として設けられるものがある。
公道で見かける「交通島(こうつうじま)」*1は、道路法や道路構造令*2にもとづいてつくられている。
ここでは、内部に人が入れるだけの空き地がある交通島を紹介してみたい。
(no.32 交通島の空き地 武蔵小金井駅前/東京都小金井市)
上の写真が交通島で、交差点や車道の分岐点などに設けられることが多く、車の進行方向を定めたり、横断する歩行者の安全を確保するなどの役割を担っている*3。また、万一車線を逸脱する車があっても、簡単に他の場所に侵入して重大事故を起こさないようにする緩衝地としての役割もある。
交通島には、植栽が施されている場合があり、上の場所のように芝生だけ植えられているものや、下の写真のように植樹されているものもある。
↑ 駅に向かって正面から撮影。
横からみた風景。ここは、交通島としては大きい部類ではないだろうか。
この交通島周辺は、常時路線バスが駐停車したり通行する場所である。したがって、安全確保のため、歩行者が立ち入らないように設計しているのだろう。島に渡るための横断歩道はなく、また、島の周りには柵が設けられていた。
しかし、島の内部には、植樹されていない空き地部分もそれなりの広さが確保されていた。
(no.33 交通島の空き地 武蔵小金井駅前/東京都小金井市)
これは、サービスエリアの入口付近にあった交通島である。この場所は、高速道路からの侵入路(写真右側)になっているため、スピードを出したまま通行する車も多い。そのため、駐車場内を歩行者が移動する際の安全を考えて、この交通島の空き地が設けられていると考えられる。
樹木や芝などの緑が設けられているおかげで、背景の自然の景観と調和してみえる。
(no.34 横川サービスエリアの交通島/群馬県安中市)
車道と歩道に囲まれた交通島である。
交通島の中には、中央にモニュメントが立っていたり、敷地全てが植樹されている場所も多い。しかし、この交通島の内部はぽっかりと空き地になっている。
なかには、この空き地をみて花壇にしたいと考える人もいるかもしれない。
しかし、何かで埋めようとしないほうが、余白や間としての魅力が感じられて良いのではないだろうか。
この反対側にも、もう一つ交通島(空き地)があった ↓
(no.35、36 茨城県龍ケ崎市)
これは、サービスエリアの駐車場にある交通島である。
大きな駐車場は日影が少ないので、夏は厳しい暑さに晒される。この交通島には高い木が植えられ、それが日影をつくってくれていた。
車から降りてちょっと休むのに良い場所だ。
(no.37 上里サービスエリアの交通島/埼玉県児玉郡)
*1:国土交通省関東運輸局ホームページ:「関東地方交通審議会 答申 関東交通プラン 用語解説」を参照。https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/kikaku_sinkou/chikosin/word.html(現在リンク切れ)
*2:昭和四十五年政令第三百二十号道路構造令(1970年10月29日公布)
*3:道路構造令の第二条十七号に「交通島 車両の安全かつ円滑な通行を確保し、又は横断する歩行者若しくは乗合自動車若しくは路面電車に乗降する者の安全を図るために、交差点、車道の分岐点、乗合自動車の停留所、路面電車の停留場等に設けられる島状の施設をいう。」と記されている。
(出典:e-Govウェブサイト 「道路構造令」https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=345CO0000000320#4)(最終更新日:平成三十一年四月十九日公布(平成三十一年政令第百五十七号)改正 を参照。)2020.11.13.閲覧。