住宅街を散策していると、雑草が生えている空き地を目にする機会が多い。
もちろん、地域によっては砂利で覆われた空き地、防草シートが敷かれた空き地、アスファルト舗装された空き地など、人工物で覆われた空き地が多いケースもあるだろう。
ただ、その種の空き地にはない魅力が、雑草が生えている空き地には存在すると思う。たとえば、自然がある空き地は私たちに季節の変化を教えてくれたり、動植物の魅力について気づかせてくれる。
雑草が生えている空き地の様子を、四季を通して観察したことがある。
まず春の空き地では、枯れ草の隙間から鮮やかな緑の草が伸び始める。それが夏になると大きく成長し、空き地全体を覆ってしまうこともある。そして、秋が深まるにつれて黄や赤に色づく葉が出てくる。冬には枯れてしまう雑草がほとんどだが、なかには枯れずに地面に這って越冬するものもある。なお、年間を通して雑草たちのあいだでは厳しい生存競争が繰り広げられており、空き地の中で優勢になる植物はその時々で異なる。
また、空き地で見られる自然は植物だけではない。花の咲く空き地には蜜を求めて蝶や蜂が集まる。草むらにはバッタやクモなどの様々な虫が棲みつき、それらの虫を捕食するトカゲなどの動物も集まってくる。このように、限られた土地の中にも様々な命の営みがあり、空き地ごとに生態系の様相も異なっていると考えられる。また、最近では空き地で遊ぶ子供の姿をほとんど見かけなくなったが、かつてそこは子供たちにとって自然に触れられる貴重な遊び場だったことも忘れてはならない。
上の写真は、住宅街で見つけた空き地。広さは家が1、2軒建てられそうなくらい。前日に降った雨が水たまりをつくり、水面に隣家や空を映し出していた。
このように、自然が存在する空き地は、様々な趣きを感じられることが大きな魅力と言える。
(no.2 茨城県)