空き地図鑑

空き地、更地、使われていない資材置き場、オープンスペース、祭祀場、住居跡地など、「空いている場所」がもつ様々な機能、意味、魅力を探ります。 (※本ブログに掲載の写真および文章の無断使用(転用・転載など)は禁止しています。)

余ってしまった土地を観察する〈後編〉

※前編→余ってしまった土地を観察する〈前編〉 - 空き地図鑑 5.小さな不整形地旧市街で見つけた三角形に近い空き地。 過去の衛星画像を見た限りでは、少なくとも17年以上は空き地のまま残されているようだ*1。ひょっとしたら、この辺りに街がつくられた頃か…

余ってしまった土地を観察する〈前編〉

はじめに 街を歩いている時、何の役にも立ってなさそうな空きスペースを見かけることがある。 それらは「デッドスペース」と呼ばれることもあるが、存在感が薄いため普段は目にとまらず通り過ぎてしまうことが多い。 この記事では、デッドスペースを含め、何…

無名の遺跡 3 - 石庭跡 / ゴミ捨て場跡 / 道路跡 / 水利設備跡

前回までの"無名の遺跡"に関する記事では、住居跡地、店舗跡地、使われなくなった施設跡地などを紹介した。 ここでは、それらの土地よりも小さい、ちょっとした空きスペースを中心に紹介したい。 ①石庭らしき跡 レストラン(左)の前に、放って置かれている…

無名の遺跡 2 店の跡地 / スポーツ広場跡地

前回の記事では、過去の痕跡を残す空き地として住宅跡地などを紹介した。 この記事では、飲食店の跡地、包装用品店の跡地、スポーツ広場らしき跡地を紹介したい。 「過去の痕跡を残す空き地」は特に珍しいものではなく、どの地域でも見られるありふれたもの…

無名の遺跡1 住居跡地 / 施設跡地

このブログでは、建物の基礎や塀の一部などの過去の痕跡が残る空き地を、「無名の遺跡」や「痕跡を残す空き地」と呼んで紹介してきた。 ・街で無名の遺跡を探す〈前編〉 - 空き地図鑑 ・街で無名の遺跡を探す〈後編〉 - 空き地図鑑 ・痕跡を残す空き地 1 - …

治水施設の管理用地

調整池の管理用地 散歩中、フェンスの向こう側(調整池の敷地)に、空き地がひっそりと佇んでいることに気づいた。 フェンスが低くなってる所から撮影。 写真中央に三角の空き地があり、その奥には池が広がっている。そして、空き地の右隣にはコンクリート製…

【お知らせ】第三十一回文学フリマ東京に参加します。

今回、既刊『空き地学』vol.3、vol.2、vol.1のみの販売となります。 日時:2020年11月22日(日)12:00〜17:00 会場:東京流通センター 第一展示場(※入場無料) ブース: ナ−29 (空き地研究会) ※webカタログ https://c.bunfree.net/c/tokyo31/1/ナ/29 ※…

使われていない植栽地4〈後編〉

③ 何もない ここでは目につくものがない、あるいはほとんどない空き植栽地を紹介したい。 (※前編はこちら → 使われていない植栽地4〈前編〉 - 空き地図鑑 ) ●小さな空き花壇 店の裏口にあった使われていない花壇。 ここには、目を引くものはわずかに生え…

大坂城の空堀

大坂城跡に、水が入っていない「空堀(からぼり/からほり)」がある。 空堀になっているのは、内堀の3分の1ほどで*1、残りは水が張られた水堀である。 上の写真は本丸南側にある空堀(桜門西側)の様子。 新緑の時期に訪れたので、雑草に覆われた空堀の姿を…

使われていない植栽地4〈前編〉

はじめに 街を歩いていると、様々な場所で花壇や植樹のためのスペースを見かける。 それらの中には何らかの事情で使われていないものがあり、人目に留まることなくひっそりと佇んでいる。 この記事では、散歩中に見つけた使われていない植栽地の姿を紹介しつ…

防火水そう / 消防活動用空地

住宅街の防火水そう① 散歩していると、時々コンクリートの台が設けられた一画に出会うことがある。 写真の標識にあるとおり、この四角い台は「防火水そう」といい、地中に埋められた容器の中に消火用の水が蓄えられている。 ここは非常時に活躍する空間なの…

街で無名の遺跡を探す〈後編〉

[目次] 6. 神立駅前遺跡 (かんだつえきまえいせき) 7. 物言わぬ原っぱ まとめ おわりに 6. 神立駅前遺跡 (かんだつえきまえいせき) (神立駅前遺跡 / 撮影日:2019年6月26日、7月10日) 土浦市のJR神立駅前に、建物や駐車場の痕跡が残された広い空き…

街で無名の遺跡を探す〈前編〉

はじめに 街を歩いていると、普段目にしていた店や家がなくなって空き地になっていることがある。 新しくできた空き地は、上の写真のようにきれいに整地されていることが多い。 しかし、なかには目を引く痕跡が残されていることもある。 たとえば、この空き…

使われていない駐車場4

使われていない駐車場にも、他の空き地同様、何ともいえない魅力がある。「殺風景」という語は、「単調で趣のない」、面白味がないなどの否定的な言葉だが*1、むしろそのような場所に私は情緒を感じてしまう。 これまでも、このブログでは様々な使われていな…

出来立ての空き地3

解体工事中の駐車場 夜のゲームセンターに、解体工事中の駐車場があった。 工事は、おそらくこの日の日中に始まったばかりだろう。敷地内には工事車両が停まっていて、いくつか瓦礫の山ができていた。 翌日関係者に聞いたところ、駐車場を一度解体して舗装し…

住宅街の空き地6

樹木が立つ空き地 住宅街に、長い間人の手が入ってなさそうな空き地があった。 空き地の中で一際目を引いたのがこの木。 ここまで成長するにはどれくらいかかるだろうか。成長が早い木だとしても、3年以上は放って置かれているように見える。 隣家にとっては…

ある空き地の記憶

かつて地元に広い空き地があった。 これは2012年6月に撮影した様子である。 この空き地の面積は6ヘクタール以上ある。全体が草に覆われ、ところどころ自然に根付いた低木も生えている。またこの中にはキジが棲んでいて、そばを通ると鳴き声をあげながら飛び…

建物と建物の隙間

建物と建物の間に生まれた隙間。 その姿に同じものは二つとなく、きれいに整えられているところ、雑然と物が置かれているところ、収納スペースとして使われているところなど様々だ。 これらの表情を観察していくと、管理者や住人の意識が何となく垣間見えた…

【お知らせ】第二十九回文学フリマ東京に参加します。

新刊『空き地学』vol.3と 既刊vol.2、vol.1を販売します。 日時:2019年11月24日(日)11:00〜17:00 会場:東京流通センター 第一展示場(※入場無料) ※会場へのアクセス ↓ bunfree.net 【ナ−31】★ 【書誌情報】 『空き地学』vol.3(デザイン / Katooonlin…

住宅街の空き地5

街を散歩している時、多くの人にとって空き地そのものの印象はほとんど記憶に残らないかもしれない。 ただ、空き地(ここでは「利用されてない土地」の意味) の多い少ないが街の印象を左右することは確かだと思う。 個人的には、たとえ庭付きの住宅や公園など…

余ってしまった土地6

駐車場内の余った土地 これは、大阪の街を歩いていた時に見つけた駐車場内の空き地。 周りの駐車スペースには大型バスが何台も停まっていたが、ここだけぽっかりと空いていて使われている様子がみられない。 また、この駐車場は全体的にきれいで、新設されて…

出来たての空き地2

整地作業中の空き地 散歩中、たまたま整地作業中の空き地に出あった。 ここにはかつてガソリンスタンドがあり閉店後もしばらくそのままにされていたが、ついに解体されてしまったのだ。 こうして土地の記憶はリセットされていく。また新しい店や施設ができれ…

使われていない駐車場3

コミュニティセンター横の空き地コミュニティセンターの隣に、ごくたまに使われる臨時駐車場の空き地がある。(コミュニティセンターは右隣) 空き地の中にはタイヤの跡がたくさんあった。たまたま最近使われたのだろう。しかし、いつもは基本的にガランとし…

住宅街の空き地4

新緑がきれいな5月〜6月のはじめ、住宅街の空き地でも魅力的な景色がみられた。 草の種類はわからないが、サラサラと風になびいてきれいな空間ができていた。 空き地ごとに生えている草の種類は様々だ。いろんな草が雑多に生えている空き地があったり、こ…

痕跡を残す空き地 3

不思議な骨組み 近所の水田エリアを散歩中、雑草が茂っている一画を見つけた。 左右の区画では稲作が行われているが、ここだけは何故か放置されている。 近寄って見た様子。 この位置からはわかりづらいが、この空き地の奥行きは約50mもある(横幅は18mくら…

余ってしまった土地5

美大校舎裏の空き地 武蔵野美術大学の校舎裏に、人があまり立ち入らない空き地がある。 上の写真は、校舎階段(2号館)の踊り場から撮影したものだ。 学生時代、私は気が向いた時にここを訪れ、そのガランとした雰囲気を楽しんでいた。 近年、ここに工事関係…

使われていない植栽地3

植物を育てるためには、日々の水やり、雑草とり、肥料管理、剪定などが必要で、何かと手間がかかる。 はじめは愛着を持って育てられていた植物でも、管理が面倒になったり、飽きられたりして、いつの間にか放って置かれてしまうケースがある。また、管理者の…

住宅街 / 商店街の空き地

人口が減少している地域では、空き地が都市の衰退(空洞化)を示す指標になることがある。 一方、発展途上の地域においては、空き地が成長の伸び代と捉えられることもある。 また、街の発展や衰退という大きな動勢とは関係なく、単に街が維持されるなかで、…

使われていない建物と空き地

人が出入りしなくなった住宅や事業所では、庭や駐車場が荒れ、そこが独特の佇まいの空き地に生まれ変わる。 上の写真は廃屋の隣にある空き地で、地表のほとんどが雑草に覆われている。しかし、隅のほうはまだ草に侵食されておらず砂利が覗いていた。この様子…

【お知らせ】第二十七回文学フリマ東京に参加します。

第二十七回文学フリマ東京にて、 『空き地学 vol.2』 を販売します。 日時:2018年11月25日(日)11:00〜17:00 会場:東京流通センター 第二展示場 【カ−26】 (東京モノレール「流通センター駅」下車、徒歩1分、入場無料。) 書誌情報: c.bunfree.net 小…