空き地図鑑

空き地、更地、使われていない資材置き場、オープンスペース、祭祀場、住居跡地など、「空いている場所」がもつ様々な機能、意味、魅力を探ります。 (※本ブログに掲載の写真および文章の無断使用(転用・転載など)は禁止しています。)

余ってしまった土地を観察する2〈中編〉

前編では、宅地(路上以外の土地)にある余ってしまった土地を紹介した。

余ってしまった土地を観察する2 〈前編〉 - 空き地図鑑

中編では、路上にある余った土地を、成り立ちや特徴に注目しながら紹介してみたい。

 

路上の余った土地

8. 多叉路の余った土地①       

5つの道路が交わる交差点に、3つの空きスペースができていた。

このうち最も広いものが、上の写真のガードレールに囲われた場所。

反対側(交差点側)から見た空きスペース。ここから見るとY字路の出っ張り部分にあたる。

ガードレール内の様子。

横の方から見た空きスペース。広さは200平米(60坪)くらいあり、これまで見たものの中でも広い部類だ。

次に、スペース内に入って観察してみる。

交差点に近い端には、マンホールが設置されており、その周りには背丈のある雑草が生えている。この下に水路が通っているので、常に水が染み出ているのだろう。

マンホールの周りだけでなく、アスファルトが傷んだ箇所や土が堆積した所からも雑草が生えている。整備当初は無機質な空間だったはずだが、経年劣化と自然浸食により侘び寂びが味わえる場所に変化している。

この余ってしまった土地は、一見したところ完全なデッドスペースに思えるが、この部分だけガードレールが開いており、向こう側に横断できるようになっている。

鉄板の周から伸びる雑草。これは水路点検用の蓋だろうか。

隅から見たスペースの全体像。

(no.490 茨城県)

多叉路の余った土地②     

同じ交差点にある2つ目の空きスペース。

ここは道路のカーブに沿っているため特殊な形状をしている。

広さは大体150平米くらい。

1つ目の場所はアスファルト舗装だったと思うが、ここはコンクリート舗装に見える。そのせいか傷みはほとんどなく、雑草は施工の継ぎ目からしか生えてない。

スペースは写真奥方向へ先細っている。

反対側の端から見た様子。
(no.491 茨城県)

多叉路の余った土地③     

f:id:akichiniiko:20211015121853j:plain3つ目のスペース。

2つ目のものと同様、道路のカーブによって特徴的な姿をしている。

f:id:akichiniiko:20211015121931j:plain広さは120平米くらい。ここもコンクリート舗装されている。

f:id:akichiniiko:20211015121940j:plainスペース内にはマンホールと電柱が設置されている。

以上、多叉路にある3つの空きスペースを紹介した。これらのスペースは、本来ゴミが捨てられたり、吹き溜まったりして環境が荒れやすい場所だろう。しかし、意外にもきれいな状態が保たれている。

1つ目のスペースは三角形の土地だが、他の2つの不整形スペースに比べれば利用しやすい形をしており、面積も60坪ほどと広い。これくらいの面積があれば何かに有効利用できそうなものだが、地中に水路が通っているため、開発は制限されるのだろう。このことが、余ってしまっている理由の一つになっているのかもしれない。

(no.492 茨城県)

 

 

9. 道路脇の空きスペース

道路脇に、上の写真のような不思議な空きスペースが残されていた。道路沿いにあるスペースの数は合計4つで、それぞれ大きさや形が異なる。

上の写真では、左側に車道、右端に歩道が通っており、真ん中が謎の空きスペースになっている。

以前も、上の写真のように、道路脇の不思議な空きスペースを2か所訪れたことがある。これらは、どちらも道路工事が予定されている場所にあり、左の写真のスペースは拡幅予定地として確保されていることがわかっている。一方、右の写真のスペースについては確認を取っていないが、道路整備計画の資料を見る限りは拡幅予定地と考えられる。

したがって、この道路脇にある空きスペースも一見したところ拡幅予定地に思えた。

ところが、整備担当の事務所に問い合わせたところ、これは旧道の一部が取り残されたものであり、この道路に拡幅工事の予定はないことがわかった。

担当者によれば、ここにはもともとS字形の旧市道が通っていたが、その上に真っ直ぐな県道を整備したために、その屈曲部が余ってしまい、現在の姿になっているとのことだ*1

1つ目のスペース(上の写真)は細長く、奥行きが100メートルくらいある。

反対側の端から見た同スペースの姿。

2つ目の空きスペース。ここの広さは5×10メートルくらい。

反対側から撮影。

スペース内には土が溜まり、アスファルトの隙間からは雑草が生えている。

そして、3つ目のスペース。ここも2つ目と同程度の広さ。

反対側の端から撮影。土の吹き溜りが草のすみかになっている。

これは4つ目のスペース。

ここは、先ほどの場所から道路を隔てた反対側にある。

1つ目のスペースと似ており、奥行きが7、80メートル程ある細長い土地。

この空きスペースは、アスファルトの傷みと土溜りが目立つ。

スペース内にはゴミはほとんど落ちておらず、目を引いたのはこの枝くらい。おそらく、そばに立つ街路樹を剪定した際に出たものだろう。

これら4つの空きスペースは、現時点では整備予定がないため、今後も永続的に残されるものと見られる。

また、先述したように、道路脇の空きスペースには姿が似通っているものがあり、一見したところどれも同じ性格に思える。しかし、実際には、拡幅予定地や単なる過去の痕跡として残されているものがあり、性格に違いがあることが今回のフィールドワークで初めて確認できた。

 

「余ってしまった土地を観察する2」〈中編〉は以上だが、〈後編〉でも引き続き路上にある余ってしまった土地を紹介し、最後にまとめを述べたい。

(no.493-496 茨城県)

 

*1:茨城県竜ケ崎工事事務所道路整備第一課からの回答による。(2022年11月21日回答)