空き地図鑑

空き地、更地、使われていない資材置き場、オープンスペース、祭祀場、住居跡地など、「空いている場所」がもつ様々な機能、意味、魅力を探ります。 (※本ブログに掲載の写真および文章の無断使用(転用・転載など)は禁止しています。)

調整池の空き地(破竹川調整池)

 

f:id:akichiniiko:20201231205759j:plain大雨が降ると、川が増水して洪水を引き起こすことがある。それを未然に防ぐため、街に調整池が設けられる。調整池に雨水を貯めることで、大量の水が一気に川へ流れ込まないようにしているのだ。

調整池のなかには、貯水されていない時に一般開放され、グラウンド、駐車場、公園などとして利用されるケースもある。

※前回の調整池の記事→調整池の空き地(横田川運動公園) - 空き地図鑑 

上の写真は、茨城県龍ケ崎市にある破竹川調整池の一部で、開放されている緑の空き地部分である(面積は2haくらい)。この空き地に隣接して駐車場やテニスコートもある。なお、東京都の調整池に関するページを参照すると、調整池には掘込式、地下箱式、地下トンネル式などがあり*1、この分類によればここは掘込式と思われる。

上の写真の左奥へ行くと排水設備に至り、そこから池の水を川へ排水する。そして上の写真の右下あたりには雨水の流入口らしきものがある(下の写真)。

f:id:akichiniiko:20201231205907j:plain雨水の流入口らしき水たまり。その右隣には駐車場が整備されており、さらにその隣にはテニスコートがある。

f:id:akichiniiko:20201231205528j:plain近くで見た様子。街に降り注いだ雨水は、おそらく下水道を通ってここから流れ込むのだろう。

f:id:akichiniiko:20201231212334j:plain破竹川調整池の全体図。

大雨の際、この空き地が水没することが示されている。

 

f:id:akichiniiko:20201231210146j:plainそして、これが空き地の端に立って見た様子。

反対側の端(写真奥)までは250メートルくらいある。ここは誰でも立ち入ることができるが、訪れた時は地面がぬかるんでいた。池なので当然といえば当然だが、いつもこの状態かどうかはわからない

なお、空き地の周囲には小道が設けられており、訪れた時は3、4人ほど散歩している人の姿があった。

ここから特に変化のない風景が続くが、反対側の空き地の端を目指して進んでみる。

f:id:akichiniiko:20201231210113j:plainスタート地点(右奥)を振り返る。

空き地の中に一歩足を踏み入れてみたが、水が染み出してきて長靴が欲しくなる。

f:id:akichiniiko:20201231210040j:plain空き地の中央付近まできた。左奥が空き地の端(向かっていく方向)

f:id:akichiniiko:20201231210056j:plain 歩いてきた道を振り返る。轍が薄く見えるので、この道は車が通ることもあるようだ。

f:id:akichiniiko:20201231210005j:plainここから思い切ってぬかるんだ原っぱに入り、奥の森へ近づいてみる。

f:id:akichiniiko:20201231205547j:plain森のそばまで来た。近くには小川が流れている。ここには自然に根付いたと思われる木々があり、爽やかな水辺の風景が楽しめる。 

f:id:akichiniiko:20201231211903j:plainこの辺りの小道にも車が通った痕跡がある。大きめの水たまりがあって歩きづらい。

f:id:akichiniiko:20201231211846j:plain水たまりに近づくと、端のほうで水紋が生まれた。

f:id:akichiniiko:20201231205620j:plain よく見ると小魚が泳いでいる。

f:id:akichiniiko:20201231205633j:plainf:id:akichiniiko:20201231205557j:plainこれはメダカだろうか。調整池に生息していたものが、池の水が抜かれてここに取り残されてしまったようだ。

f:id:akichiniiko:20201231210323j:plain顔を上げると、向こう側に空き地の端が見える。小魚の今後が心配だが、容器を持っておらずどうすることもできない。かわいそうだが、先へ進むことにした。

f:id:akichiniiko:20201231210421j:plain時々振り返って空き地の中を眺める。特に目を引くものはなく、きれいな原っぱが広がる。スタート地点からここまで200メートルくらいは来ただろうか。

f:id:akichiniiko:20201231210530j:plain途中で振り返って見た様子。右奥の建物がある辺りがスタート地点。

ちなみにこの轍の水たまりには魚の姿はなかった。

f:id:akichiniiko:20201231210438j:plainようやく空き地の端に到着した(歩いてきた方向を撮影)。

ここは、ぬかるんでいる時は運動場としては適さないかもしれないが、風景を眺めたり散策する意味では心地よい空間だ。この付近には、このような広い原っぱがほとんどないので貴重な緑のオープンスペースと言える。

また、今回特に心に残ったのは取り残された水たまりと小魚だ。それらは、まだ見ぬ空き地が水沈した姿を想像させてくれるものだった。

(no.430 茨城県龍ケ崎市)

 

*1:参照:東京都建設局ウェブサイトhttps://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/jigyo/river/chusho_seibi/ike.html(2021.8.1閲覧)