空き地図鑑

空き地、更地、使われていない資材置き場、オープンスペース、祭祀場、住居跡地など、「空いている場所」がもつ様々な機能、意味、魅力を探ります。 (※本ブログに掲載の写真および文章の無断使用(転用・転載など)は禁止しています。)

住宅街 / 商店街の空き地

 

人口が減少している地域では、空き地が都市の衰退(空洞化)を示す指標になることがある。

一方、発展途上の地域においては、空き地が成長の伸び代と捉えられることもある

また、街の発展や衰退という大きな動勢とは関係なく、単に街が維持されるなかで、建物の建て替えなどによって一時的に現れる空き地もあるだろう。

ここで紹介する空き地は散歩中や通勤途中などに見つけたものである。

このうち、龍ケ崎市内で見つけた空き地の多くは、都市の衰退を示しているようだった。一方、東京都内の空き地の多くは、都市の発展・維持の役割を担っているようだった。

 

長方形の空き地

上の2枚の写真は、市街地にある横長の空き地の全体像。

ここには2016年頃まで建物が建っていたようだが、解体された後も再開発されず、今もこうして残されている。

更地になって月日が経っているものの、雑草はそれほど生えていない。元々この空き地には砂利が敷かれていたようで、それが草の根付きをいくらか防いでいたのかもしれない。

しかし、訪れた際には半分以上の砂利が流されており、水たまり跡と思しきぬかるみもあった。

一見、ごく平凡な空き地に見えるかもしれないが、地表に目を落とすと様々な表情が生み出されていることに気づく。そしてまた、それぞれがこの空き地の歴史を物語っている。

建物の解体時に出た瓦礫の破片、この空き地を整地した際に敷かれた砂利、雨風によって少しずつ露出してきた土、徐々に地表を侵食する雑草、雨後にできたと思しき水たまり跡等々、人の痕跡や自然が生み出す造形は飽きることなく眺めていられる。

(no.219 茨城県) 

 

 未開発の空き地

f:id:akichiniiko:20190103181026j:plain畑、原野、住宅が混在する地域にある空き地。

やや不整形で奥行きもある。

この空き地には建物の痕跡がみられず、一度も開発されたことがない土地に思える。この辺りは開発が盛んではないので、ここもしばらく空き地として残りそうだ。

(no.220 茨城県)

 

 鉄塔が立つ空き地

f:id:akichiniiko:20190103181221j:plainこの空き地には外構が残されていた。

右隣の家の外構も同じデザインなので、隣家が所有する土地の可能性もある。

f:id:akichiniiko:20190103181044j:plainGoogle Earthで過去の様子を確認したが、最も古い2004年の画像にも建物の姿は写されておらず空き地のままだった。また、当時も鉄塔らしき影も写されていた。

空き地として残されているのは、この鉄塔のせいだろうか?

(no.221 茨城県)

防草シートとコンテナの空き地

住宅街に防草シートが敷かれた空き地を見つけた。なお、隣にはコンテナが置かれた土地があり、両者の関係は不明。

f:id:akichiniiko:20181229210623j:plain空き地のシートは杭で固定されており、さらに上からブロックで押さえられている。風で飛ばされないよう、なかなか念入りだ。また、なぜかシートの端は玉砂利でカバーされていた。これまで、何か所かシートが敷かれた空き地を訪れたことがあるが、このように玉砂利が使われているケースは初めてだ。

ブロックは一定の間隔ではなく、3辺の縁と中央付近に多く配置されている。そして、ブロックの少ない場所には玉砂利が多く使われてバランスをとっているようだ。これらはあくまでシートを固定するための処置だと思うが、何とも言えない魅力がある。美術に携わってきた身としては、黒地をベースとした造形作品に見えてしまうのだ。

なお、隣の空き地はコンテナを利用した物置き場になっているらしい。

側面に窓が付いているが、このような製品があるのだろうか。それとも、後からDIYで付けたものだろうか。

シートが敷かれた区画とコンテナの区画には、それぞれマンホール(汚水枡?)や古いコンクリートが地面に残されており、かつて何かの建物や施設があったことが窺える。

(no.222 茨城県)

 

痕跡がわずかに残る空き地f:id:akichiniiko:20181224221425j:plain住宅街で見つけた空き地で、住宅跡地と考えられる。

内部にはゴミも落ちておらず、すっきり見えるところが魅力だ。日なたと影の対比もきれいである。

なお、この写真の左端には、かつてあった家の外構の一部(ブロック)がわずかに残されている。f:id:akichiniiko:20181224221021j:plain建物があった跡として、止水栓やマンホールもあった。

地表の雑草はあまり伸びてない。ここが更地になってからそれほど時間は経ってないのかもしれない。

(no.223 茨城県)

 

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この空き地も住居跡地と思われる。工事車両が入る場所だろうか、敷地の一部だけに砂利が敷かれていた。

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端の方には水道管やメーターボックスなどが残されている。

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それ以外で目につくものは、解体作業で出たであろう破片や雑草である。

また、この空き地の右隣にも同じような空き地があった(下)

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地面の感じから推測すると、ここも隣の空き地と同時期に更地になったようだ。

ここにも水道のメーターボックス、蛇口、マンホールなどが残されていた。

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(no.224〜225 東京都)

 

地面が低い空き地
f:id:akichiniiko:20181219212841j:plainこれは旧市街で見つけた空き地で、ホームセンター(右)と住宅地(左)の間に挟まれた場所にある(2019年撮影)。

f:id:akichiniiko:20181219212905j:plainホームセンター側から見た様子。広さは家が3、4軒建てられそうなくらい。 

f:id:akichiniiko:20181219212814j:plainこの空き地の大きな特徴は、地面が少し下がっていることだ。

f:id:akichiniiko:20181219212557j:plainf:id:akichiniiko:20181219212650j:plainそして、地面には湿った所があり、ここだけ姿の違う雑草が生えている。おそらく、水捌けが悪く、雨が降ればここに水たまりができるのだろう。

f:id:akichiniiko:20181219213025j:plainこの空き地のも一つの特徴は、四方が道路に囲まれていることだ。

四方が道に囲われた空き地は、開発されたばかりの地域や過疎化が進んだ地域などでもよく目にする。ただ、この旧市街ではほとんど見かけたことがない。何らかの理由があり、この一画だけ長い間開発が避けられてきたのだろう。

〈以下、2020年7月13日、2023年12月9日追記〉

f:id:akichiniiko:20200713151312j:plain一年ほど経過したある日、再びこの空き地を訪れてみた(2020年4月)。

たまたま前日に大雨が降ったので、空き地全体が大きな水たまりになっていた。はじめは、たんに水捌けがわるいだけかと思ったが、気になって過去の様子を空中写真で確認してみた。すると、ここは少なくとも1990年頃まで農地として利用されており、1960年代の写真には水田らしき姿が写っていた(地理院地図(https://maps.gsi.go.jp)の年代別の写真、「1961年~1969年」「1987年~1990年」を参照)。

f:id:akichiniiko:20200713151532j:plainこの日は敷地内で工事が始まっており、1年前にはなかった土砂の通路が敷地の中央にできていた。これからこの水たまりを埋め立てて整地するようだ。

f:id:akichiniiko:20200713151622j:plain土砂の通路は敷地中央付近までつくられている。

f:id:akichiniiko:20200713162709j:plainかつて水田だったことが容易に想像できる状態だ。

f:id:akichiniiko:20200713162741j:plainf:id:akichiniiko:20200713162713j:plain2023年に再訪したところ、地面は周りの道と同じ高さになっており、すでに住宅が5棟建っていた。
(no.226 茨城県)

 

親しみにくい空き地

これは東京都内の住宅街で見つけた空き地。

f:id:akichiniiko:20180620121622j:plain空き地の手前には標識があり、ここが国有地であることが示されている。

f:id:akichiniiko:20180620122206j:plainf:id:akichiniiko:20180620122239j:plainここはそれなりの広さがあるが、奥まできちんと砂利が敷き詰められており、整備と管理がよく行き届いている。

f:id:akichiniiko:20180620121627j:plainしかし、このしっかりとしたフェンスと門の姿からは近寄りがたい印象を受ける。

きれいなところは良いのだが、どこか冷たい印象を抱かせる空き地である。

 (no.227 東京都)


夜の空き地

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夜に歩いていた時に、たまたま見つけた空き地である。

この辺りは建物が密集しているので、ぽっかり空いたこの場所が目立っていた。また、窓からの光が空き地を照らし、良い雰囲気だった。

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この付近は小さな店構えのレストラン、喫茶店、居酒屋などが点在している。この空き地にも、何かの店があったのだろうか。

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空き地を撮影中、端の方でしばらく猫が鳴いていた。

(no.228 東京都台東区)