空き地図鑑

空き地、更地、使われていない資材置き場、オープンスペース、祭祀場、住居跡地など、「空いている場所」がもつ様々な機能、意味、魅力を探ります。      (※本ブログに掲載の写真および文章の無断使用(転用・転載など)は禁止しています。)

記念物(きねんぶつ)の空き地について

 

文化的機能を持つ空き地(分類方法) - 空き地図鑑でも述べたとおり、「記念物」は文化財の一つで、国や地方公共団体などにより保存・管理されている。

この分類で紹介する場所の多くは、過去に建てられた建物の跡であり、それらは「史跡」として保存されている。 

しかし、史跡の中には、過去に建てられたものの痕跡がごく僅かしか残されていなかったり、地中に埋まっていて確認できない所も多い。

そのような場所は、一見しただけでは何のために保護されているかわからないただの空き地である。

そのため、現地にはたいてい標識が立てられ、その土地の文化財としての価値が記されている。こうして、そこを訪れた人は、標識に記されたテキストや図を参照して、過去に建てられたものの姿を想像しながら空き地を鑑賞することになるのである。

 

このように、空き地鑑賞はすでに私たちの文化であり、「史跡見学」として行なわれてきたことに注目したい。

  

史跡に指定される空き地は、そこが歴史的に価値があり「記憶を伝える場所」として認められているからだ。

しかし、たとえ文化財に指定されていなくても、過去の記憶を私たちに伝えてくれる空き地は存在する。

たとえば、浅原氏は廃村ひとすじ! HEYANEKOのホームページのなかで、数多くの廃村、住居跡地、廃校跡地などを訪れ、その様子を記録している*1

そこでは、建物が解体された後の更地や、荒廃が進んで自然に空き地が形づくられている場所なども紹介されている。

これらも、そこに関わりのあった人たちにとっては、自分たちの思い出を宿す特別な場所だろう。しかし、史跡として保存されることもなく、また、再開発・再利用されずに放置されている場所も多い。

もちろん、廃村が「村跡」や「集落跡地」として残されたり、記念碑が立てられたりしている所も多くある。たとえば沖縄県石垣市にかつてあった安良村は、「安良村跡」として残され、その一部は文化財の指定も受けている。

また、校舎跡地が「緑地」や「公園」として残されるケースもある。かつて北海道恵庭市にあった松園小学校の跡地が「恵庭開拓記念公園」として残されたり、同市に存在していた盤尻小中学校の跡地が都市緑地として保存されている例もある。これらの場所では、過去に建っていた学校の歴史が記念碑や標識等で後世に伝えられている。*2

 

ところで浅原氏は、廃村探訪の当初の動機について、「廃村というよりは,不便で人の気配の薄そうな地域を目指して旅をしていたようです。」と述べている*3

私も、当初は、「人の気配の薄そうな」静かな雰囲気が好きで、たびたび空き地を訪れていた。

特に、利用されていない空き地などは、あたかも「人々から忘れ去られた場所」にみえ、いつまでも佇んでいられるほど魅力的な場所だったのだ。

 

*1:出典:「廃村ひとすじ! HEYANEKOのホームページ」http://www.din.or.jp/~heyaneko/index.html

*2:少子化に伴い、全国的に廃校の数が増加している。その対策として、北海道では次のような廃校利用の募集もされている→ 旧北海道旭川北都商業高等学校の跡利用者の募集について | 旭川市(出典:旭川市ホームページ)。道内ではこの他にも、市や教育委員会などにより廃校の活用が推進されている。

*3:前掲、浅原氏ホームページ「HEYANEKOのホームページ」の「HEYANEKOが訪ねた「廃村」リスト」より。