(no.60 東京都渋谷区)
上の写真2枚は、北参道駅近くの歩道にあった謎の閉鎖空間である。
赤瀬川原平の「超芸術トマソン」については「超芸術トマソン」の空き地 (余ってしまった土地について) - 空き地図鑑の中でも紹介した。
この記事で紹介する空き地も、赤瀬川らが分類した「境界」物件にあたるものだろう。
『トマソン大図鑑 空の巻』のなかでは、ここで紹介する空き地に似たようなものを掲載しており*1、また「境界」物件について「歩道と車道の間の狭い一区域が、ガードレールで完全に囲われて閉じた空間となっているものなど、理解に苦しむ」と述べている*2。
上の写真の空き地は、歩道の中に設けられているので、さらに理解に苦しむ。
おそらく、違法駐車・駐輪対策として勝手にスペースが利用されないようにするために設けられたのだと思われる。
または、赤瀬川が「おそらくは行政上の法解釈の杓子定規で生じたものだろう」*3と述べているように、道路法や道路構造令など何らかのルールによってつくられているのかもしれない。
いずれにしても、これらは道路をつくった後に何らかの理由で残されたと考えられる。しかし、事情を知らない者の目から見れば、単純にスペースがもったいなくも感じてしまう。広い歩道の方が、歩きやすいだけでなく、街の景観としてもゆとりがあって良いのではないだろうか。また、冒頭写真を含め、この記事で紹介する空き地は路上につくられたものであり、その目的や成り立ちについてある程度推測することができる。しかし、ごくまれに、その推測が困難な空き地に出会うこともある。この種の空き地については、用途不明の空き地 - 空き地図鑑にまとめた。これらの謎めいた空き地の魅力は、用途や成り立ちについて様々に想像できることにあると思う。
なお、東京都小金井市にもガードレールに囲われた空き地がある(下の5ヵ所)。これらは、車道と歩道の間に設けられている。しかし、歩道は十分な広さが確保されているので、この空き地が特別邪魔という感じはしない。
一つ目のガードレールで囲まれたスペース。
反対側から見た同じスペースの様子。
二つ目のスペース。これはさっきのスペースの隣にあった。
三つ目のスペース。先の二つに比べて面積がやや狭く、台形っぽい。
反対側から見た同じスペースの様子。
四つ目のスペース。
反対側から見た同じスペースの様子。
五つ目のスペース。これは端にあるため三角形である。
反対側から見た同じスペースの様子。
路上で見かけるガードレールは、地面に埋め込まれた恒常的なものもあれば、重たいブロックなどで仮設的に置かれたものもある。ここで紹介した五つはどれも仮設のものに見えるので、将来この道路は拡張工事が行われる可能性がある。そして、その際にこれらの空き地は、環境施設帯にあるような緑地になることも考えられる。(→ 参照 : 環境施設帯(かんきょうしせつたい)の空き地 - 空き地図鑑)
これから数年、あるいは数十年先にはどのような姿に変化しているだろうか。
一度訪れただけの私は現状の姿に関心を抱くが、地域住人は環境施設帯のようなきれいな歩道が整備されることを望んでいるのかもしれない。
※(2022.11.28.追記)
この謎の空きスペースについて東京都建設局に問い合わせたところ、記事で推測した通り、道路拡幅工事の予定地であることがわかった*4 。すでにこの通りの南側・北側には道幅の広い道路が整備されており、今後それらと同じ幅になるとのこと。
※(2021.6.7.追記:ここでは、道路の一部が余白として残されている現状に注目して「余ってしまった土地」に分類した。しかし、この空き地は幅員拡張予定地として確保されていると考えられるので、そうであれば「開発や利用を待つ空き地」と捉えられる。今後同じような空き地を取り上げる際は、改めて分類を検討したい。)
(上からno.61〜no.65 東京都小金井市)