上の写真は沖縄県国頭郡今帰仁村(くにがみぐんなきじんそん)のクバの御嶽にある空き地である。ここは森に覆われた丘全体が聖域になっていて、沖縄の中で最大の御嶽とされている*1。
森の入口から細くて暗い薮道を進んでいくと、突然上のような開けた空間が姿を現わす。
暗い一画に光が差し込む姿は幻想的だ。
この空き地は祭場として使われているようだが*2、どのような使われ方をしているのか詳細は不明である。
村が設置した標識によれば、年に2回、この御嶽に神職や村人たちが集まり子孫繁栄や航海安全などを祈願するようだ。写真左奥には細い道が続き、奥へ進むと香炉などが積まれている拝所に出る(一番下の写真)。しかし、 村人が行う祭祀では人数が多くなるため、この香炉前だけでなく冒頭の空き地が使われるのではないだろうか。
このように、昔から自然に近い姿のまま維持され、祭祀場として今も使われていることは驚きである。しかし、簡素な空間だからこそ人工物で整備された寺社にはない魅力を感じた。
鬱蒼とした森の中の何もない空間。
不気味さと清浄さが合わさって、独特の神秘的な雰囲気が醸し出されていた。
(no.50 クバの御嶽 / 沖縄県国頭郡今帰仁村)